増税対策に景気対策を併せるのがダメなわけ 消費者には負担増を正直に説明すべきだ

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増税による経済へのマイナスの影響が一度に表面化しないように、対策の終了時期を分散させることには意味があるが、今回決まった対策は終了時期が2020年の東京オリンピックの前後に集中している。これは、増税対策の効果が切れてもオリンピックによる需要喚起効果が出てくることを期待したものだ。これで切れ目ない需要喚起が期待できるように見えるが、逆効果となるおそれが大きい。

過去のオリンピック開催時の経済動向を見ると、終了後に経済成長率が大きく鈍化する傾向がある。オリンピックに向けた社会資本の整備や、訪日客の増加に対応した民間の投資がなくなり、オリンピック開催期間の訪日客の消費がなくなることで需要が急減するからだろう。

今回の増税対策で消費増税の影響の発現は先送りされるが、オリンピック終了による経済へのマイナス効果と重なってしまって、経済の落ち込みを大きくしてしまう懸念がある。これを避けるには、オリンピック終了時に大規模な財政支出を講じるということになるが、これではどこまで行っても財政再建に着手できないということになりかねない。

景気対策の効果が切れたころに世界経済の悪化も

2018年末には、アメリカで予算の失効による政府機関の閉鎖やトランプ政権の主要スタッフの退任などがあり、市場に不安が高まって、世界の株価は大幅に下落した。世界景気の先行きも怪しくなってきている。

今後の推移は予測困難なトランプ大統領の行動次第という部分が大きく、英国のEU(欧州連合)離脱がどのような形になるのかなど不確実な要素が非常に多い。大規模な増税対策を用意したことで景気へのマイナスの影響を小さくできたという結果になることもありうるが、対策の効果が切れたころに世界経済の悪化が起きることもありうる。

景気悪化への対応として大規模な対策を用意するとしても、必要になるタイミングは予測できないので、役に立つかどうかはわからない。それどころか、タイミングが悪く、かえって景気の振幅を大きくするおそれもある。増税による経済への影響を時期的に分散させるという対策と景気対策とは明確に分けて考えるべきだろう。

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