いきなり!ステーキ、急成長の陰に潜む誤算 既存店のテコ入れと人材確保・育成が急務に

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客数回復に向けての秘策はあるのか。2018年に入って苦戦が続いているいきなり!ステーキだが、実は8月と10月は一時的に客数が回復した。その理由は割引キャンペーンだ。通常1390円のワイルドステーキ300グラムが1000円になるといった値引きが功を奏した。では今後も、定期的に割引キャンペーンを実施すればいいかというと、そう簡単にはいかない事情がある。

いきなり!ステーキは「高価な料理の代名詞だったステーキをより多くの人に食べてもらう」のがコンセプト。ペッパーフードサービスの一瀬邦夫社長は「原価率が50%以上の飲食店は今までない」と胸を張る。実際、2018年1~9月の原価率は57.3%だった。

いきなり!ステーキのビジネスモデルは、原価率を高くする反面、立ち食いスタイルで客の回転率を高め、利益を確保する。それゆえに、割引キャンペーンを増やせば原価率が一段と上昇し、利益を圧迫しかねない。

人材の確保・育成が課題

ロードサイドが苦戦している状況を受け、出店スピードを遅くするのも選択肢の1つだが、ペッパーフードサービスは2019年も前年と同規模の210店の出店を目標に掲げる。すでに契約済みの物件もあり、2019年半ばごろまではロードサイドへの出店が続く見通しだ。既存店が苦戦する中、出店が続けば1店当たりの客数がさらに減少するおそれもある。

ペッパーフードサービスの一瀬邦夫社長は、新業態の展開も視野に入れているという(撮影:梅谷秀司)

最大の問題は人材の確保と育成だ。いきなり!ステーキの場合、店長などで1店舗あたり3人の社員を必要とし、15店ごとにスーパーバイザーと呼ばれる社員がQSC(品質・サービス・清潔さ)を管理する。従業員数は急速に増えており、2016年末は351人だったが、2017年には519人へと急増。2018年も増え続けており、毎月50人程度が中途入社している。こうした中で、全店舗でサービスの均質化を保つのは決して容易ではない。

既存店のテコ入れに人材育成と、多くの課題を抱えるいきなり!ステーキ。2019年はまさに正念場となりそうだ。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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