海外マラソン、次に狙うべきはシンガポール? 政府全面バックアップでメジャー入り目指す
そのため今大会から世界的なスポーツイベントオーガナイザーである「アイアンマン・アジア」のジェフ・マイヤー氏を大会事務局長に迎え入れた。マイヤー氏は約15年にわたりトライアスロンの国際大会で大規模スポーツイベントのノウハウを培い、それをシンガポールマラソンの大会運営やコース設定、メディア戦略などに投入した。
主なところでは都市の魅力がより伝わりやすくなるよう大幅なルート変更や、5kmのファンランおよび車いすマラソン部門の新設、ファンランとハーフおよびフルマラソンそれぞれの充実を図るため2日間への日程変更、暑さ対策、海外メディアの呼び込みなどだ。その結果、例年よりも洗練された大会を印象付けた。
マイヤー氏によれば、「今回の大会予算は約4000万シンガポールドル」とのこと。日本円に換算して約32億円と高額で、すでにワールドマラソンメジャーズの一員である東京マラソンの約36億円と比較しても、シンガポール政府の本気度がうかがえる金額と言えるだろう。
エンターテインメント性の強い都市型マラソン
ホノルルマラソンは風光明媚な海岸コースが魅力のリゾート型イベントだが、対するシンガポールマラソンは斬新なデザインの超高層ビルや名だたる高級ホテルが立ち並ぶ街中がコースの大半を占める都市型イベントである。エンターテインメント性にも富み、今大会からスタート地点となったF1シンガポールGPのピットレーン(F1ピットビルディング前)はランナーの士気を上げた。
昨年に続いて参加した地元の一般ランナーは、「2017年大会でもコース後半に盛り込まれていたけど、今年のほうがエキサイティング。いいアイデアだと思う」と話している。
他にも見どころは目白押しだ。
コース序盤はシンガポール随一のクラシックホテルとして知られるラッフルズ・ホテルやおなじみのマーライオンなど観光気分を楽しめる繁華街を抜け、中盤は一転して亜熱帯植物の緑豊かなイーストコースト公園を折り返す。そして終盤は圧巻のスケールを誇る湾岸エリアのマリーナ・ベイでフィニッシュを迎える。
フルマラソンの終盤はランナーの足取りが重くなるが、“未来型植物園”を謳う広大な人工庭園ガーデンズ・バイ・ザ・ベイや今やシンガポールのランドマークとなった統合型リゾートのマリーナベイ・サンズ、大型観覧車シンガポール・フライヤーなどの景色に背中を押される。
スタート時間は暑さやスコールを避けるため朝4時30分と早いが、コースは全体的にフラットで制限時間は7時間。マラソン初心者も参加しやすい条件も人気の理由だろう。
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