孤独死の後に残った現場の知られざる後始末

滅多に表へ出ない「特殊清掃」の裏側を見た

「どの現場にもたいてい頭の皮と髪の毛は落ちている。それらは頭蓋骨に乗っているだけだから、腐敗が進むとズルっと落ちてしまう。トイレで座って亡くなった場合足元に頭の皮と髪の毛が落ちている場合が多い。もちろん警察は回収しない。

風呂だと、それ以外にも手足の細かい骨やら何やらいろいろ残されている。風呂の場合、そのまま流してしまうと大変なことになる」

アパートの風呂の下水管はよその部屋とつながっている場合が多い。つまり汚染された液体が、よその部屋の下を流れることになる。臭いの元が、広がってしまう。

「うちではポンプで汲み上げて、トイレから流すようにしている。トイレの下水管は直接下水に流れているから臭いの問題はない。

ただ警察が遺体を回収するときに、誤って風呂の栓を抜いてしまっている場合もある。そういう場合は大量の水と薬剤を流してなんとかしている」

風呂場の清掃は精神的に厳しいが、ただ風呂はそもそも水を外に漏らさないよう作られているので、風呂場を超えては汚染が広がらない。

脂は表面だけじゃなく、さまざまな場所に走っていく

室内で亡くなった場合は、汚染があらゆる場所に広がっていくので大変だという。

遺体から出る液体は赤黒い色をしていると思いがちだが、そうとは限らない。透明の脂が出て部屋に広がっていくのだ。今回の現場でも遺体から出た脂が、床をじんわりと湿らせていた。

「脂は亡くなった人によって出る量が全然違う。やせてる人はほとんど出ないけど、40~50代の太った人の場合かなりの量が出るよ」

夏場の現場で、遺体から出た脂が部屋中にひたひたに広がっていたことがあったという。その場合、床材はもちろん張替えになるが、それだけでは済まない。

「そういう脂は表面だけじゃなく、さまざまな場所に走っていくのよ。カーペットがあれば、カーペットに染み込んで広がっていくし、部屋と部屋の間で亡くなった場合は、隙間から床下に落ちて広がっていく。電線コードや断熱材にも伝わって広がっていく。

実際どこまで広がっているかは開けてみないとわからない。目では確認できない場合も多いから、作業員が鼻をつけてどこまで汚染されているか確認しながら作業をする」

部屋の端っこで亡くなったのに、床を開けてみると玄関や風呂場の下まで全部汚染されていたこともあったという。

いい加減な業者に頼んでしまうと、表面の汚れだけを拭き取って清掃を終わらせてしまう場合もある。

もちろん、汚れは残っているので後から臭いが発生する。

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