引っ越し業者とのやりとりで「損」しない方法 プライベート含めすべての話し合いは交渉だ

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では、引っ越し業者とお客さんの会話例を見てみましょう。

:1月29日火曜日の午前にお願いしたいのですが。

業者:その日の午前は埋まってしまっているので、ほかのお日にちは可能でしょうか?

:日程は火曜日じゃないと厳しいですね。水曜日も無理ではないのですが、荷物を片付けるために使いたいので。

業者:なるほど……ですが、やはり月末はどうしても混雑してしまうので……。

:ということは、1週間前の22日だと空いているのですか?

業者:可能であればその日だと大変助かります。

:新居はいま空室なので、たぶん22日でも大丈夫ですけど、日割で家賃かかってくるので、そこがネックですね。

業者:もし、22日にしていただけるようでしたら、1万円お値引きさせていただきます。

:ほんとうですか。とはいえ、1週間前倒しにすると、日割で取られる家賃のほうがずっと高くなりそうです。

業者:承知しました。では、29日の午後便はいかがでしょうか? 午前の引っ越し後に伺いますが、正直なところ、遅れる可能性もございます。

:午後でもいいですよ。どっちにしても水曜日に片付けする予定なので、火曜日は時間に余裕がありますし。水曜日の午前よりは、火曜日の午後のほうがありがたいです。

業者:では、29日の午後でトラックと人員を手配させていただきます。

すべての話し合いは交渉

このように、複数の利害を考慮しながら「○○のかわりに××」という取引を成立させていく交渉を「統合型交渉」といいます。一方で、1つの条件について争う交渉を「配分型交渉」といいます。

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配分型交渉の典型的な例が価格交渉です。売り手は高め、買い手は低めの金額を提示して、お互い徐々に譲歩しておとしどころを探るのですが、これでは「○○のかわりに××」という取引ができないので、納得感も低く、合意できない場合も多々あります。

「コレをするから、アレをしてほしい」という取引こそ、おとしどころを見つけるカギなのです。

今回はプライベートの業者との例でしたが、ご紹介したメソッドはビジネスでも、プライベートの別のシチュエーションでも通用するものです。

「すべての話し合いは交渉」だと意識して、ぜひ日々の話し合いに活用していただきたいと思います。

松浦 正浩 明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)教授

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まつうら まさひろ / Masahiro Matsuura

東京大学工学部卒、マサチューセッツ工科大学都市計画学科都市計画修士課程修了、三菱総合研究所研究員、マサチューセッツ工科大学都市計画学科Ph.D 、東京大学公共政策大学院特任講師、特任准教授を経て現職。著書に『おとしどころの見つけ方 世界一やさしい交渉学入門』(クロスメディア・パブリッシング)など。

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