「au三太郎」が4連覇の理由と良いCMの共通点 「SmartNews」と「本麒麟」が特別賞

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キリンビール株式会社のマーケティング部 ビール類カテゴリー戦略担当 本麒麟ブランドマネージャー・木村正一氏は「ただ売れるだけではなく100年後も愛されるブランドを生み出す」という大きなミッションのもと、「会社名を冠した商品名が表すように、自社の持つ最高の技術や原材料を結集した」と振り返った。

“お客様のことを一番考える会社”になることをモットーに掲げ、企業都合ではなく消費者が期待すること=絶対的においしいもの・価値のあるものを目指したという。CMでも低価格・新ジャンルというカテゴリーにとらわれず、最大のベネフィットである“美味しさ”をストレートに伝えた結果、発売から6カ月で2億本突破(350ml缶換算)という過去10年間の同社新商品で売り上げナンバーワンの大ヒットを記録した。

事業内容は違えど2社に共通するのは、消費者の「一人ひとり」と向き合っていることだろう。消費者をひとくくりの集合体として捉え、調査から見える数字だけを拾うのではなく、潜在顧客一人ひとりの生活を思い描き、その中で価値のあることを追求する姿勢だ。その企業姿勢の延長線上にあるテレビCMでも商品がきちんと中心に据えられている。

情報があふれかえり、企業からのメッセージが簡単に届きにくい昨今においては、一過性の話題を提供するクリエイティブで振り返ってもらうのも1つのアプローチではある。

だが、この2社をはじめとする「消費者を動かしたCM展開」受賞ブランドは、表面的なCMのインパクトだけで興味を引くのではなく、人々が本当に求めている自社商品のベネフィットを突き詰め、それを情報の軸にした点で、広告としての訴求力が違っている。

2019年のCM動向は

改元を5月に控えるほか、秋にはラグビーワールドカップの日本開催や消費増税、さらに東京2020大会に向け機運の高まりが期待される2019年。CMには何が求められるのだろうか。

スマートフォンの普及、SNSの進化に伴い誰でも発信者になれる時代になり、消費者が得られる情報が増えた一方、匿名で発せられる無責任な情報や意見も増えている。企業もつねにさまざまな意見にさらされるようになり、いつしか優等生的なCM表現が多く見受けられるようになった。テレビCMの誰もが目にするという特性を考えると、悪いことではない。

ただ、批判を過度に気にするあまり企業の人格まで隠してしまうような表現を目にすると広告の役割とは何かと問いたくなる。ホンダの企業広告「Go, Vantage Point. HondaJet」や『ハズキルーペ』といった企業の個性を胸を張って伝えるCMが、高いCM好感度を獲得した事実から考えると、自分たちの信念や本音を真っすぐに表現する潔さこそが多くの人に共感される時代であるといえるだろう。

いわゆる「忖度」とは、本来は「相手の考えや気持ちを思いやる」という意味だが、最近では「上役の意向を推測して媚びること」といった意味で浸透している。そういった意味では、2018年後半は「忖度疲れ」が表面化してきたのかもしれない。

2019年の広告業界はコミュニケーションの原点に立ち戻り、自らの考えを腹を割って明確に伝えることの価値が高まるのではないだろうか。

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