「au三太郎」が4連覇の理由と良いCMの共通点 「SmartNews」と「本麒麟」が特別賞

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その中で、特に注目されたのが『ハズキルーペ』だ。CM好感度では前年度の528位から9位と大躍進を遂げた。出稿量の増加以上にインパクトの強いCM表現で存在感を示し、テレビのみならずウェブ上でも大きな話題となった。

舘ひろしや渡辺謙、武井咲といった有名俳優が真正面から商品をアピールするCMを60秒のみで展開し、視聴者に強い印象を残した。広告の本来の役割に正面から向き合い、商品特性を堂々と表現した潔さが、消費者の目には新鮮に映ったようだ。

ランキングとは別に、CM総合研究所では毎年優れたCM展開で業績の向上に貢献した「消費者を動かしたCM展開」を選出している。今年は96銘柄あり、その中から特に「今年らしさ」「創造性」「影響力」といった観点に優れたCM展開として、10銘柄を特別賞として選出した。

『SmartNews』と『本麒麟』が特別賞

今回はその代表として、2つのブランドを紹介したい。

『SmartNews(スマートニュース)』はスマートフォン・タブレット向けのニュース閲覧アプリで、2018年3月からは新たなコンテンツとして全国2万店舗以上の飲食店などで毎日利用可能な「クーポンチャンネル」の提供も開始した。

サービスの開始に合わせ、千鳥を起用した新テレビCMシリーズを放送。

『TVCM スマートニュース「呼び名」篇』

2人のコミカルな掛け合いと、それにリンクしてスクロールされるクーポンチャンネルの画面で展開するもので、クーポンの利便性をストレートかつ親しみやすく訴求した。サービス特性のわかりやすさとクリエイティブの面白さが共存するCMに多くの支持が集まり、年間CM好感度では約7000ほどあるブランドの中で、前年度の747位から15位へとジャンプアップした。

スマートニュース株式会社の執行役員 マーケティング担当・西口一希氏は「ユーザー獲得に対して確実な効果を求められる中、『次も使いたい』と思ってもらえるかをブランディングの指標としてマーケティングを行っている。テレビCMに加えオンラインでは各SNSの特徴に合わせクリエイティブを変えてアプローチしており、それでも到達できない消費者には新聞広告や新聞チラシ広告も活用した」と一人ひとりに届けるための多角的な広告戦略を明かした。

細やかなコミュニケーション設計が奏功し、9月には日米3500万ダウンロードを突破、10月にはiOS・Androidのアプリストアでダウンロード数ランキング1位に輝いた。

もう1つは、2018年3月に新発売されたキリンビールの『本麒麟』だ。若者のアルコール離れが進み、また市場が超成熟期を迎えたこともあり新商品の生き残りが難しくなっているアルコール業界において、『本麒麟』の爆発的ヒットは久々の明るいニュースとなった。

本麒麟 「手紙新商品売上No.1 年末」篇 30秒
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