12月21日に2019年度予算政府案が閣議決定された。一般会計の予算規模は101兆4564億円で、当初予算としては過去最高となった。この中には、2019年10月に実施される消費税率の10%への引き上げ時に実施する増税対策が2兆円ほど盛り込まれている。2%の増税だが5%のポイント還元を実施するキャッシュレス決済時のポイント還元、プレミアム商品券、そして防災・減災等インフラ整備と、大盤振る舞いという印象を与えた。ただ、麻生太郎財務相は12月18日の記者会見で、来年度予算案は「ばらまきという表現はあたらないのではないか」と述べてはいる。
加えて防衛費や公共事業費など歳出増圧力が目白押しだった。予算案の閣議決定の前、12月18日に閣議決定した2019~2023年度における「中期防衛力整備計画(中期防)」では、2019年度からの5年間の防衛力整備に要する金額を27兆4700億円程度と決めた。これは、2014~2018年度の5年間で24兆6700億円程度としていた前期中期防よりも、11.3%の増加となった。
公共事業費については、12月14日、2018年度第2次補正予算、2019・2020年度予算の3年間でおおむね7兆円程度の事業規模とする、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が閣議決定された。
国債発行や基礎的財政収支赤字は減る
また社会保障費も抑制策に大きな目玉がなく、支出削減ができるのか危ぶまれた。
本連載の拙稿「来年の年金給付が『増える』ことの代償は何か」でも、その懸念の一端を示した。現在74歳の高齢者の患者負担割合は2割で、現行制度のままだと75歳からは1割に減るのを、来年に75歳となる高齢者から2割のまま据え置くとする案は、今秋に与党内で深く検討されることはなかった。患者負担割合が3割となっている、現役並みの所得を持つ高齢者の対象拡大も、来年度予算に盛り込まれなかった。もしこれらが実現すれば、社会保障費がそれだけ抑制できるものだった。
今秋からの予算編成過程で、与党を中心に歳出を増やす要求が認められてゆくさまが続々と報じられ、参議院選挙を翌年に控えて、2019年度予算案は歳出が大幅に増え、それに伴って国債発行も大きく増えるのではないか、との噂すら流れた。このままだと、2025年度に先送りされた基礎的財政収支黒字化という財政健全化目標の達成は遠のくのではないか、とみる向きもあったのである。
ところがふたを開けてみると、2019年度予算案では、2018年度当初予算と比べて、国債発行は減っていたし、基礎的財政収支の赤字も減った。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら