2019年トランプを待ち受ける3つの「超難所」 正念場は年明け早々にやってくる

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トランプ大統領にとっての勝負は、2019年前半の政策運営である。財政については、3つの課題の期限が集中する夏から秋にかけてを待たずに、2019年前半に一定の道筋をつける機会が訪れる。

当面の課題は政府閉鎖の解除だが、2月にはトランプ政権が20年度の予算教書を発表し、3月には債務上限の適用が再開される。こうした機会をとらえて、財政運営全般に関する話し合いが進む可能性が指摘できる。

正念場は2019年前半に

債務上限の適用が再開される3月は、アメリカが中国に対する追加関税を引き上げるかどうかの期限でもある。また、2月までに自動車関税の引き上げに関する商務省の報告が行われていれば、それから90日以内にトランプ大統領が引き上げの有無を決定する手筈となる。

さらに、トランプ大統領がNAFTAからの脱退を通告すると、6カ月後には脱退が認められる。言い換えれば、通告と同時に議会がUSMCAの承認を終えなければならない期日が決まるわけであり、来年前半には期限に向けたカウントダウンが始まっているかもしれない。

疑惑の捜査においては、特別検察官による報告書の発表が近いといわれる。いよいよ下院の多数党となる民主党が、どこまでトランプ政権を厳しく追及するかも、2019年前半の注目点となろう。

2019年前半のうちに、ある程度の難所を切り崩しておけば、トランプ大統領の政権運営は楽になる。一方で、出だしで躓けば、政権は乱気流に巻き込まれる。経済の減速も、現実味を増すだろう。気が抜けない年が始まろうとしている

安井 明彦 みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部長

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やすい あきひこ / Akihiko Yasui

1991年富士総合研究所(現みずほ総合研究所)入社、在米日本大使館専門調査員、みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長、同政策調査部長等を経て、現職。政策・政治を中心に、一貫してアメリカを担当。著書に『アメリカ 選択肢なき選択』(日本経済新聞出版社)などがある。

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