2019年トランプを待ち受ける3つの「超難所」 正念場は年明け早々にやってくる

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1つは、米中摩擦である。トランプ大統領は、中国に対する追加関税の引き上げを、2019年3月まで延期している。一方で、中国の華為技術(ファーウェイ)幹部の逮捕に象徴されるように、摩擦の焦点が安全保障とも結び付いたハイテク分野での争いに移ってきた気配がある。株式市場等は、3月までの交渉の進展を、固唾をのんで見守ることになる。

2つ目は、日本を含む同盟国との交渉だ。トランプ大統領は、日本やEUとの通商交渉を本格化させるべく、議会への通知等の準備を整えてきた。また、2019年2月までには、自動車・同部品に高関税を課すべきかどうかについて、商務省の報告書がトランプ大統領に提出される。トランプ大統領にとって、自動車・同部品への高関税は、日本やEUとの交渉を有利に進めるためのカードとしての意味合いが強いが、実際の発動が意識されるようになれば、市場の混乱を招くことは必至である。

いよいよ迫る捜査の手

3つ目は、USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)の議会承認である。アメリカ、メキシコ、カナダは、2018年11月にUSMCAに署名しており、前身であるNAFTA(北米自由貿易)によって築かれた経済圏が消滅する危機は、いったんは回避されている。

しかしアメリカでは、下院の多数党となった民主党が、USMCAの承認に難色を示している。トランプ大統領は、NAFTAからの脱退をちらつかせつつ、議会にUSMCAの承認を迫っており、まかり間違えば、3カ国間の貿易協定が消滅するリスクが再び浮上する。

第3の難所は、トランプ政権に関する疑惑の捜査である。モラー特別検察官が進めてきた捜査等は、いよいよヤマ場を迎えつつあるようだ。下院の多数党となる民主党も、議会権限を駆使した捜査に注力する方針を明らかにしている。

2019年の捜査の進展は、先に挙げた2つの難所の行方を左右する。捜査に対応するだけでトランプ政権は手一杯になり、政策運営は麻痺しかねない。世論の関心をそらすために、トランプ大統領が他の論点で過激な言動に走るリスクもありそうだ。

多岐にわたる疑惑の捜査は、3つの分野に大別できる。第1は、いわゆる「ロシア疑惑」であり、2016年の大統領選挙に関し、トランプ陣営とロシア等の外国勢力との共謀が疑われている。モラー特別検察官による捜査の対象は、ロシアにとどまらず、中東の勢力との関係にも広がっている模様である。

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