セブン、「無人レジ店舗」をめぐる期待と不安 顔認証にAI、コンビニの省力化対策に熱視線
顔認証での決済にかかる時間は1秒以下――。
12月17日、東京・港区の三田国際ビル20階に、手ぶらでも買い物できるセブン-イレブンが開店した。広さは通常の店舗の15%、一般的なセブン店舗では約2900品目を販売するが、この店舗では400品目にとどまる。
品ぞろえは食料品が中心で、雑貨はマスクなどオフィスで求められる製品に限られる。カフェラテや飲むヨーグルトなど飲料の自動販売機も設置するなど、街中のセブンとは店の作りが大きく異なる。
現金決済は行わない
同店は顔認証技術などを提供するNECグループ社員だけが使用できる。店舗の入り口に備え付けられたカメラが事前に登録した客の顔を識別して扉が開く。会計は客が自ら商品のバーコードを読み取る「セルフレジ」を使用。カメラによる顔認証や社員証で手続きが完了する、という流れだ。支払いは給与天引きで現金決済は行わない。
普通のコンビニでは常時2、3人の店員を必要とするが、販売人員が不要なため品出しなどを行う1人だけで店を回すことができる。
事の始まりは5年前、NECからの出店要請だった。三田国際ビルには社員食堂がなく、周辺の飲食店もあまり多くない。お昼どきにはエレベーターが渋滞する中、ランチを求めて地下1階のセブンに客が集中していた。今回、オフィスビルの中層階への出店が決まったことで、NECの技術を使い顔認証の実証実験も併せて行うことになった。
顔情報を使用するのは入店や決済だけではない。NECプラットフォームズが提供するコミュニケーションロボットや店内にあるディスプレーでは、顧客の性別や年代など属性に合わせたターゲット広告を音声や映像で提示する。
NECでの実証実験のほかにも、セブンでは数店舗で小規模ながら省力化の実験を行っている。セミセルフレジではレジ業務が1日150分削減されるほか、商品の検品も1つずつ行うのではなく、複数入る仕入れ用の箱単位で検品することで、36分の作業時間短縮につなげた。
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