セブン、「無人レジ店舗」をめぐる期待と不安 顔認証にAI、コンビニの省力化対策に熱視線

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セブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長は「省人化や色んなイノベーションに挑戦することが大切」と話す(撮影:尾形文繁)

また商品の発注については、販売実績や天気などのデータを取り入れたAI(人工知能)を活用している。こうした手法は時代の流れを踏まえると、当たり前のようだが、かつてのセブンにとっては考えられないことだった。

セブンはこれまで、翌日の天気や行楽情報などを踏まえ、従業員自らが1品ずつ考えながら発注する「単品管理の徹底」を掲げてきた。これは2016年に退任した鈴木敏文元会長(現名誉顧問)がこだわってきた手法だ。鈴木氏が経営の一線から退いたことで、現場レベルでも少しずつ変化が起き始めているようだ。

ローソンやファミマも省力化対策

セブンだけでなく、省力化への取り組みはコンビニ他社でも進んでいる。ローソンはセブンとは対照的に、欠品を減らすため2015年からAIを活用した発注を取り入れている。天気やイベントなどの情報を基に、自動で発注数量が加盟店側に提案される仕組みだ。さらに、アプリでバーコードを読み取ると店内のどこでも決済できるスマホペイの実験も進める。現在は12店舗で展開しており、2019年2月末までに100店舗での導入を目指している。

ローソンのスマホペイでは商品のバーコードを読み取り決済、専用リーダーにかざし購入が完了する(撮影:風間仁一郎)

国内店舗数2位のファミリーマートは、セルフレジの導入に力を入れる。2015年11月から導入されていたが、2018年2月までの設置店は数十程度の規模だった。しかしこの1年間で、昼食時に混雑する都心部のオフィス街を中心に導入を加速。2019年2月時点で全国1000台の導入を見込む。

省力化の取り組みは各社で進むが、コスト面の課題解消など、全国的な普及にはまだまだ時間がかかりそうだ。今回のセブンの実験店については、顔情報のプライバシーも課題となるため、「企業内の店舗でないと難しいのが現状」(セブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長)という。

一方で現場を支える加盟店には人手不足に加え、人件費の負担が重くのしかかる。東京都の場合、最低賃金は直近で985円と、10年前から219円も上昇。実験の繰り返しにとどまらず、現場の負担軽減につながる仕組みを早い段階で広められるかが、コンビニ各社に求められている。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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