「瓶のふた開け」にも困る老後を支える人たち タニタ食堂を手がけた前会長が今熱中する
「困ってることをただ解決してあげるのではなくて、そのプロセスを大事にしよう」
谷田さんは、古市さんが話す御用聞きの特性を、ビジョンとして落とし込む手伝いをした。
実際に現場で耳を傾け、声を届けていたのは古市さんならではの、実感に基づいたコンセプトだった。依頼者と会話しながら作業すると、始めたときよりも終わったときのほうが生き生きしている。
「おしゃべりしながら洗濯物を一緒に畳んでくれるだけでいい」そんな依頼もあると聞き及び、谷田さんもビジョンに自信を持ったという。
ただ、「5分100円」の料金体系だけが気に入らない。こんなに中身の濃い事業なのに、そんなに安価でいいのかと。それでは商売にならないのではないか。対価はきちっと払ってもらったほうがいいんじゃないか。今でもそう思っている。(3年前に)黒字になったときはビックリしたけど、まだちょろちょろだからねえ(笑)。
「いや、大輔さんから見たらちょろちょろかもしれないけれど、僕らからすればOKな内容です」
苦笑する古市さんに「いやいや、もっと頑張らないと」と発破をかけるが、それも会長の役目と心得ているのだろう。
ライブドア元社長の平松氏もサポート
株主総会ではしっかり意見する。ライブドアホールディングス前代表取締役社長で、小僧com株式会社代表取締役会長の平松庚三さん(72)が最高顧問を務め、出資者は8人。そうそうたるメンバーとともに、御用聞きを支える。
成功したと言えるのは、代表の古市さんがそれ相応の給料を取ったときでしょう。今はそうじゃない。自分の身を削りながら会社を発展させているわけです。それに、買い物代行など、ほかも参入し始めた。もっと競合他社が出てくるでしょう。これから真価を問われるでしょう。
谷田さん自身、年齢的に重いものを運ぶのはつらくなっていて、依頼者の困りごとが身をもってわかる。
買い物に行けば、重いものは男性のほうが持つでしょう。でも、昔よりは体力は落ちてきます。それに、思ってもいないようなことが起きてくる。腰痛とかね。あちらこちらが痛くなる。仕方がないことです。ただ、他人の世話になるのをできるだけ遅くしたい。それはみなさん同じ気持ちでしょう。
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