「瓶のふた開け」にも困る老後を支える人たち タニタ食堂を手がけた前会長が今熱中する

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写真左から(株)御用聞きの古市盛久社長と谷田大輔会長(写真:筆者撮影)

「住に安心を。街を元気に。御用聞き」

そんな言葉が並ぶ紺色の前掛けをつけたスタッフが、次々と段ボールを運びこむ。

「みんな、キビキビ動くねえ。頼もしいよ」

笑顔で見守るのは、体脂肪計や「タニタ食堂」でおなじみのタニタの前代表取締役会長、現在は経営コンサルタントの谷田大輔さん(76)。現在、(株)御用聞きの会長を務めている。

この会社、瓶のふた開け、浴室のカビとりや重い家具の移動など、些細なことでも高齢になると難しくなる身近な困りごとを「5分100円」から代行。都内を中心に、高齢者の介護や行政支援の隙間という「2025年問題」の隙間を埋める“インフラ”として注目されている。代表を務める古市盛久さん(39)はテレビや雑誌などメディアに引っ張りだこだ。

12月某日、初めて自社のサービスを顧客として利用する谷田さんが、筆者の現場取材に応じてくれた。

今までにない面白い事業

三男が「こんなことやっている人がいる」と教えてくれた。困っている人のところへ電話一本で駆けつける。しかも、彼はお客さんとのコミュニケーションがいちばん大事なんだと熱く語っていてね。今までにない面白い事業だし、これは世の中に絶対必要なサービスだろうと思いましたね。それで会って話を聞かせてもらった。

5年前のこと、30歳以上も年下の若き起業家である古市さんと食事をしながら、4時間くらい話した。話を聞けば聞くほど賛同できた。いちばん胸を打たれたのは、顧客に寄り添う姿勢だ。

たとえば一般のゴミの廃棄業者は、手早くゴミを回収して終わり。だが、御用聞きの場合は「これはどうしますか?」と丁寧に尋ね、「(亡くなった)奥様が大切にしていらしたんですね」などと依頼者の心をほぐしながら作業する。

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