南北の「鉄道調査」で見過ごされた重要事実 トランプが北朝鮮の制裁緩和に応じた?
今回の共同調査とアメリカの関係は、さらに興味深い。北朝鮮への制裁について、アメリカは見かけ上、強硬姿勢を崩していない。完全な非核化が達成されない限り、制裁緩和はありえないとの立場を、マイク・ポンペオ国務長官は11月にも繰り返している。
韓国が北朝鮮との融和に前のめりとなるなか、韓国とアメリカの足並みが乱れ、米韓同盟に亀裂が入りつつある――。そんな見方が頻繁に語られるようにもなっている。
アメリカはこっそり支援している?
たとえば、「北朝鮮の非核化が南北関係の進展に遅れることのないようにしていきたい」というポンペオ国務長官の11月20日の発言は、重く受け止められた。南北融和は実際、非核化プロセスに先行して進んでいるように見えるため、この発言を聞いてアメリカ政府が不満を強めていると受け止めた人は少なくなかった。
ただ、鉄道連結に向けた南北の共同調査が実現したことを考えると、米韓の対立はことさら大げさに語られているだけのようにも見えてくる。
というのも、北朝鮮に燃料や機材を持ち込んでの共同調査には、国連安全保障理事会から制裁の例外認定を受ける必要があったからだ。アメリカはもちろん国連安全保障理事会の常任理事国だが、共同調査に対しては制裁の例外措置が認められた。これは偶然ではなかったように思える。
米韓の事前協議で、アメリカのスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表は共同調査を「強く支持する」と語っていた。しかも、ビーガン特別代表が韓国側に共同調査への強い支持を伝えたのは、ポンペオ国務長官が南北融和と非核化プロセスは歩調を合わせる必要があると語ったのと、まさに同じタイミングだった。
南北協力を前に推し進めようとする韓国に対して、アメリカは不満を抱えているというよりは、むしろこっそりと支援しているようにも見える。少なくとも、一定のプロジェクトに関しては――。
北朝鮮とアメリカの非核化交渉は暗礁に乗り上げたとする見方が大勢を占めているが、もしかするとアメリカは、非核化の進展と引き換えに制裁を一部緩和することになるのかもしれない。
(執筆:ネイサン・パク)
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