南北の「鉄道調査」で見過ごされた重要事実 トランプが北朝鮮の制裁緩和に応じた?
11月末、韓国の列車が10年ぶりに北朝鮮に乗り入れた。南北の鉄道連結に向け、北朝鮮区間の老朽化具合を共同調査するためだ。
このニュースはもちろん各国のメディアで報じられたが、共同調査が持つ本当の重要性は十分に理解されていない。
経済を超えるインパクト
南北の鉄道連結事業は大規模かつ野心的なもので、これまでの南北共同事業とは一線を画する。今回の共同調査はこのような一大プロジェクトが実際に動き始めた瞬間であり、歴史の教科書に載ってもおかしくない。
経済的なインパクトも、過去に類を見ない。推定事業費は約350億ドル。実行に移されたとすれば、海外から北朝鮮に対して行われる投資としては、群を抜いて大規模なものとなる。共同調査のニュースを受けて、韓国株式市場は上昇。鉄道関連銘柄の中には、一夜にして2割も株価が上昇した企業もある。
現在、北朝鮮の鉄道はひどく老朽化している。平均時速50キロメートルを出せるかどうかといったところで、貨物が重いと線路が壊れる。
こうした老朽化路線を近代化し、ソウルと平壌をつなぐ高速鉄道を建設するというのが、南北の鉄道連結事業である。高速鉄道は最終的に新義州(シンウィジュ)に延伸され、国境を越えて中国の丹東につながる。
通常の路線では、線路を改修することで時速100キロでの走行を可能とし、貨物の積載量を上げる計画だ。刷新された鉄道網はロシアのシベリア横断鉄道のほか、中国の広域経済圏構想「一帯一路」とも連結。韓国とユーラシア大陸全域が陸路で結ばれることになる。
だが、南北の鉄道事業は経済の枠にとどまる話ではない。北朝鮮とアメリカの政治的意図がそこに現れているからである。