小泉進次郎は「天才子役」から脱皮できるのか 「平成の先」を見据え、国会改革に挑む

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小泉、福田両氏らが壇上に並んだ14日の会見でも、小泉氏が「私一人といわれたが、一人でなくみんなでつくっていくのが"ポスト平成"だ」と述べると、すかさず司会者が「小泉グループでは?」と問いかける場面があった。その際、笑って首を振る小泉氏に代わって「それぞれが違うというのがわれわれの強み。いかに能力を持っている人間がしっかり絡めるかだ。小泉さんを盛り上げるのが目的ではない」と解説したのが福田氏だった。

その福田氏は「平成」について「前半は『昭和に帰りたい』、後半は『わかっているけど踏み出せない』という時代だった」と分析した。福田氏は11年前、父・康夫氏の秘書官として「官邸入り」した経験を持つが、父・康夫氏の政権運営については「首相時代に『しっかりと国民に届けてなんぼ、だろ』といつも言っていた」と国民目線を重視していたことを身内として高く評価してみせた。

小泉氏については、総裁選の対応も含めここにきて「一匹狼を貫いた父親と違って、八方美人の優等生」(自民長老)と評する向きが多い。会見でも「総裁選での対応でも、もっと“ロック”な小泉さんが期待されていたのでは?」との質問が出たが、苦笑した小泉氏は「(総裁選のことを語るのは)今は生々しすぎる。いずれ語る時期が来る」とかわした。

すると、すかさず福田氏が発言を求め「(皆さんは)小泉さんを過大評価している。まだまだ発展途上、もう少し長い目で見てもらいたい」と助け船を出し、これに小泉氏が「オレ、福田派になろうかな」と応じる一幕もあった。

揮毫に込めた「政治家は言葉が命」

安倍首相は自民党総裁3選後もさまざまな手練手管で「1強」を維持しているようにみえる。しかし、「時代の歯車は確実に回っている」(自民長老)のが事実だ。政界では「遅くとも10年後には小泉時代が来る」(閣僚経験者)との見方が定着している。ポスト安倍レースも「小泉氏の動向次第で変わる」(自民幹部)ことは否定しようがない。

小泉氏は会見に先立ち控室で揮毫を求められると「一期一語一会」と書いた。「私の造語です。政治家は言葉が命ですから」という小泉氏。安倍政権で際立つ「政治家の言葉の軽さ」への強烈な皮肉とみえた。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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