小泉進次郎は「天才子役」から脱皮できるのか 「平成の先」を見据え、国会改革に挑む
その小泉氏の「クリーンヒット」(自民若手)となったのが、少子化対策に逆行するとの批判を招いていた「妊婦加算」の見直しだ。厚生労働省が進めてきたのが、妊娠中の女性が医療機関を受診すると医療費が上乗せされる「妊婦加算」だが、小泉氏は12月4日の自民党厚労部会の後、記者団に「妊婦の自己負担が発生することをどう乗り越えるか。最大限の努力を厚労省にしてほしい」と真っ向から同省の再考を求めた。
これを受けて厚労省は13日の自民党厚労部会などでこの「妊婦加算」について、「2020年度の次期診療報酬改定で名称や負担の在り方を抜本的に見直す」との方針を表明。ただちに同部会は、「妊婦の自己負担増は容認できない」ことを確認して、今後の対応を小泉部会長に一任した。この経過について小泉氏は14日の会見で、「おかしいという声に政治が動く。即日動くというスピードが大事だ」と胸を張った。
その一方で、自民党総裁選での小泉氏の「中途半端な対応」(自民幹部)が、「国民レベルでみても『小泉氏らしくない』との幻滅につながった」(自民長老)ことは否定できない。小泉氏がほぼ3年前に打ち上げた「国会改革」も、掛け声の割になかなか結果が出なかったため、永田町では、「前原誠司元民進党代表に続く"言うだけ番長2世"」と揶揄されていた。だからこそ、小泉氏も「結果を出すこと」にこだわったようだ。
平成は「国民とリーダーが響き合った時代」
会見での「平成とはなんだったのか」との問いに、小泉氏は「個人的には、良くも悪くも国民の力とリーダーの力が響き合う時代だったと思う」と答えた。その理由については「自民党総裁選で、われわれ家族も『絶対勝てっこない』と思った父(純一郎元首相)が圧勝したことだ」と説明し、「国民が派閥の力学を覆した新しい政治のあり方」と当時を回想した。
14日の会見について、記者クラブ側は当初、小泉氏だけに声をかけていたという。しかし、小泉氏の提案で「改革の同志」でもある福田達夫(51歳)、村井英樹(38歳)、小林史明(35歳)の3氏の同席が実現した。3氏はいずれも昨秋の衆院選前には「魔の2回生」と揶揄された現在の「当選3回組」で、1期先輩の小泉氏を囲む側近グループとみられている。このため、永田町では、「将来、小泉進次郎内閣が誕生した場合、女房役の官房長官は福田氏が本命」(政治評論家)との見方も広がる。
小泉氏の父・純一郎氏が2001年4月に首相となった際、官房長官に指名したのが福田氏の父・康夫氏。「年長の福田氏が暴れん坊の小泉氏を支える名コンビ」(小泉内閣の閣僚経験者)として国民の評価も高く、福田康夫氏は2007年秋に首相の座を射止めたという歴史もあるからだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら