「彼女も起業家で、保険関係の仕事をしていたんですが、月に80万円近いお金を稼いでいた。あと、すべて自分の時間で動くんですよ。土日も働くし、たまの休みも子どもを連れて実家に帰ったり自分の友達に会ったりして、私とゆっくり時間を過ごそうとはしなかった」
毎日の食事も出来合いの総菜か宅配サービスばかり。その総菜も近所の商店街で買うのではなく、デパ地下で値の張る高級料理を買ってきたという。
「家は散らかっていてもお構いなしだし、1カ月の食費は軽く15万円を超えていました」
そこで井崎は、結婚生活の軌道修正をすべく、こんな提案をした。
「入籍して正式に結婚をしたら、お金の使い方をもっと考えないか。節約して、お互いに家庭を大事にする生活をしよう」
すると、英子は言った。
「節約? お金は使わないと入ってこないわよ。足らないんだったら、稼ぐ。そうやって私は自分を奮い立たせて、これまで仕事をしてきたの。起業家が守りに入ったら終わりじゃないの!」
もちろん、英子が言うことも一理あるのだが、これでは家族を築くことはできないし、子育てをしていくのも難しい。結局英子とは、3カ月一緒に暮らして婚約を解消した。
そして、3年前、私のところに面談にやってきた。
前記したが、一般的な55歳の男性と比べたら、見た目も年収もかなりいい。同世代の女性となら、いくらでも見合いが組める。しかし、相手に30代を求めるとなると、一転してかなり厳しくなる。
そこから1年は、毎月80件近いお見合いの申し込みをサイトからし、そのほかに紹介見合いなども含めて、月に1~3件のお見合いをしていった。打率数パーセントでやっと見合いを組むのだが、見合いしても断られるか、交際に入っても、1、2度食事をすると“交際終了”になってしまうかで、なかなか結婚までは進めずにいた。
現実は厳しかった。
「国際結婚は考えていません」
1年経った頃、私と井崎の間でこんな会話がなされた。
「このままだと年だけ重ねてしまいますよ。子どもはあきらめて、同世代の女性と結婚をするという方向に、考え方をシフトしませんか?」
「いや、結婚をしたいのは子どもが欲しいからで、そこはどうしても譲れません」
「ならば、国際結婚も視野に入れませんか?」
「国際結婚は考えていません」
あくまで結婚するなら日本人女性。そこは頑なだった。そこからまた見合いをしては断れ続け、半年が経った。しかし1年半が過ぎた頃、井崎の気持ちに少し変化が出てきた。
「在日中国人の方ともお見合いしてみようと思います」
そこで、在日中国人を抱えている相談所に連絡をして、30代の中国人女性3人とお見合いをした。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら