共働きでもあえて「幼稚園」選ぶ人が得る利点 夕方までの預かり保育可能な園が増えている

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経営者(園長)の理念の方向性:幼稚園は「子どもファースト」、保育園は「保護者ファースト」

幼稚園の園長は、実は今でも昭和時代からタイムスリップしてきたような価値観を持っている場合が少なくない。「子どもは親を映す鏡」という発想が根底にあり、子どもの様子に異変があれば、まずは親の行動に変化がなかったかということを遠回しに聞かれることもしばしばである。実際に筆者も、「親の人生は子どものためにある」というような印象を受けたこともあった。

一方で保育園は、仕事に子育てにと忙しいママをサポートするという姿勢である園が多いように感じる。子ども同士のけんかがあった場合、幼稚園は比較的すぐに親が助言(≒注意)を受けるが、保育園は親を追い詰めないように状況を観察しながらマイルドに対応していく。

保護者層:幼稚園は同質的、保育園は雑多

これが実質的にいちばん大きな相違点になるかもしれないが、園の教育方針に共感して入園している家庭の集団であるかどうか、という大きな差がある。

保育園は自治体が各家庭の状況に応じて入園可否を決めるため、子どもも保護者のカラーも実に雑多。待機児童問題を考えると園に入れれば御の字、というくらいであり、教育方針を吟味している余裕はない。

一方で、幼稚園では願書提出の後、場合によっては保護者と子どもの面接を経て、幼稚園が入園可否の裁定を下す。結果的に、幼稚園が保護者のカラーを同質化させる力が働いているのだ。

たとえば、母親が就業することを好ましく思わない園長である場合、共働き世帯の保護者にとって、入園後の保護者同士の人間関係で苦労される可能性は高いと感じる。

「保育園<幼稚園」という選択肢

保育園との違いでもう1つ言及しておくと、幼稚園は「転園」が比較的簡単にできる。一方、認可保育園の場合、転園時も自治体のほうで家庭状況によるポイントの序列による選考があり、認可から認可への転園はマイナスポイントとされるため、実際にはなかなか難しい。

もし、思い切って「幼稚園」という選択をして、「園や保護者同士のカラーになじめなかった……」みたいなケースがあっても、幼稚園からの転園は実現の可能性が高い。転園先の園児の空き状況次第ではあるが、幼から幼、または、幼から保への転園もできる。

お子さんを持つ方々には、保育園だけでなく、子どもの預け先として幼稚園も選択肢に含めることをお勧めしたい。

森田 亜矢子 子育てマーケター

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もりた あやこ / Ayako Morita

社会人時代の最初は、リクルートで「今そこにない価値を創るマーケター」として働く。当時、ちゃらんぽらんな食生活を送ってしまったため大病を患い、出産を機にライフシフトを決意。2年間の専業主婦時代を経て、現在は5歳と2歳の2人の子どもを育てながら、子育てマーケター/ライター/食育講師/マザーズティーチャー/企画ディレクターなどなど、複業祭りのスラッシュキャリアで、日本の子育てをもっと楽しくする活動をしている。

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