「外国人労働者の医療問題」を未然に防ぐ方法

健康保険の悪用はどれだけ存在するのか

無論、健康保険が不正に利用されていれば話は違ってくる。留学生や企業経営者と偽って国民健康保険を取得して治療を受けに来る不正があるとの疑念も持ち上がっている以上、いまから防止策を整えておくことには異論がない。

筆者が聞きおよんだ事例から判断すると、健康保険の不正利用は、主に外国人が治療目的で来日する「医療ツーリズム」を舞台に、民間業者によって行われているのが実態のようである。では、どのような対策が有効か。

外国人労働者が高額な医療費がかかる治療を受け、医療費が減免されるケースでは、日本人に対応するときと同じように、病院のソーシャルワーカーなどを介して手続きを進めればいい。そうすれば、不正受給は防げているはずである。

実際、医療通訳を介してソーシャルワーカーが面談できる体制を整えている神奈川県の病院では、こうした不正を疑う事例はほとんど聞いていない。虚偽の滞在が見つかれば在留資格は取り消され、不正に取得した健康保険の給付は返還が求められる。

1990年代に起きた外国人労働者の医療問題

ところが、厚生労働省が2017年3月に実施した国民健康保険の全数調査の結果では不正はほとんど見つからず、同年12月末にその旨を通知している。調査はその後も継続されており、今後は不正の報告が出てくるかもしれない。が、少数の不正事例を理由にしっかりと掛け金を支払っている大多数の外国籍住民に対して日本人と格差を作ってしまうことは正当化されないだろう。

要するに、まず行うべきは、今後不正な業者が入り込まないような体制を作ることである。さらに、保険料の未払いの背景に低賃金や過重な労働がないか調査が行われるべきであろう。

本来健康であるはずの外国人労働者も、もしその立場が不安定で早期の受診ができない構造があれば健康状態は著しく劣悪になる。その究極の姿が、1990年代に超過滞在していた労働者たちである。

当時は、人手不足の中小企業などが開発途上国出身の外国人を就労資格がないままに雇用するということが頻発していた。こうした人々は健康保険の加入ができないため、医療費負担が重く病気になっても医療機関に行くのが遅れていた。結果として病状が深刻となり、瀕死の状態で病院に担ぎ込まれることが多かった。

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