景気後退でも2ケタ成長できる マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOに聞く

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――数年後にはマイクロソフトの収益の中心はクラウドサービスに変わっているのでしょうか。

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取材を受けながらも、時にヒントや留意点を黄色いメモ用紙に書き記していく

そうはならない。きちんと努力すれば共食い現象にはならないはずだ。

クラウドサービスは高い成長をするかもしれないが、それでもウィンドウズはどの製品と比べても収益性が高く、最大の収益源であり続けるでしょう。それと「オフィス」だ。戦略ミスをしなければ、クライアントOSとビジネスソフトの2部門が、これから先もマイクロソフトの収益柱です。

――近い将来、クライアントOSの成長が止まる可能性は?

ありえない。ただ、すでに規模の大きい事業であり、高い成長率の実現は困難。中国での海賊版を撲滅できれば、成長率の高い事業になりますが……。

――中国に毎月行くべきですね。

私が行くことで海賊版がなくなるのであれば、何回でも行きます。日本や米国ではウィンドウズの海賊版はほとんどない。日本はパソコンにあらかじめ組み込む販売が主体のため、偽の「オフィス」もほとんどない。ところが、米国では「オフィス」の海賊版が多い。海賊版は、頭の痛い問題です。

自分たちの能力にも自信を持っている

――「オフィス」でのライバルはグーグルですか。

グーグルの「ドックス」や「スプレッドシート」はあまり成功していませんよ。それはデータを見れば明らかです。

――グーグルは9月に独自開発したブラウザ「クローム」を発表しました。

グーグルは優秀なライバルだし、彼らにとってもわれわれが競争相手です。スポーツでは最大の防御は攻撃と言うがビジネスも同じ。検索では追う立場だが、われわれが強みを持つ分野には彼らが一生懸命勝負を挑んできます。

――使ってみましたか。

私の13歳の息子がクロームを使って「父さん、心配することないよ。(マイクロソフトの)インターネットエクスプローラーのほうがずっといいよ」と。「(モジラの)ファイヤーフォックスのほうがクロームより優れている」とも言っていました。

――昨年の取材では、かなりグーグルを警戒していたように思う。今回は「グーグルはマイクロソフトの基盤を揺るがすような敵ではない」と言わんばかりですね。余裕があるように聞こえます。

グーグルはよき競争相手であると評価し、尊敬しています(笑)。ただ、われわれは自分たちの能力にも自信を持っているし、彼らの強敵になるだろう。確かに検索の分野ではグーグルはかなりの強敵。でも、逆にマイクロソフトが強みを持つ「オフィス」「シェアポイント」、そしてブラウザの分野ではマイクロソフトは彼らにとってかなり手ごわい敵のはずです。

――2009年6月期の業績予想を下方修正しました。景気減速の影響を厳しく見ているということだと思うのですが、参入障壁の高いマイクロソフトのような会社は不況の影響は受けにくい?

正直に言って現段階では景気がどこまで悪化するか予測しづらい。ただ、消費が減ればパソコン販売に影響を与えるし、企業の設備投資が減ればパソコンとサーバーに影響を及ぼす。ビジネスリーダーたちに尋ねると、すでに設備投資は減らし始めている。特に日本や米国ではIT投資が設備投資の半分を占めており、われわれはその影響を受けます。

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