景気後退でも2ケタ成長できる マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOに聞く

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Steven A.Ballmer 1956年3月生まれ、52歳。高校時代に全米大学進学適性試験の数学で満点を取るなど数学の才能は天才的。77年ハーバード大を第2位優等で卒業。経済学、数学の学士号取得。プロクター&ギャンブルに勤めた後、経済学修士を取るためにスタンフォード大学ビジネススクールに入学したが、大学時代に寮の部屋が同じだったビル・ゲイツ氏に誘われて中退。80年にマイクロソフト入社。93年に2カ月間、東京・広尾に家族とともに住み、日本のパートナー企業との深い関係を築き上げた。2000年1月ゲイツ会長から最高経営責任者(CEO)の地位を引き継いだ。
大きな体に大きな身振り、そしてとびきり大きな笑い声。入ってきたとたん、部屋は一瞬にして熱気に包まれた。エネルギーの塊ともいえるスティーブ・バルマーCEOは、冷静沈着に戦略を説明したかと思うと、ライバルの話には鷹のように目を鋭く光らせる。取材を受けながらも、時にヒントや留意点を黄色いメモ用紙に書き記していく。一瞬たりとも気を抜かない。
グーグルの台頭、クラウドコンピューティングへの対応、盟友・ビル・ゲイツ氏の引退--。目下、バルマー氏がすべての情熱を傾けるマイクロソフトはかつてない大きな変革の時を迎えている。パソコンの覇者は、どんな方策でクラウド時代も勝ち抜くのだろうか。

あらゆるところで1位になることを目指す

――10月末発表の「ウィンドウズアジュール」はマイクロソフトにとって転換点といえますか。

外部から見たらそうかもしれませんね。ただ内部では長いこと取りかかっていたテーマです。実際の転換点は3年前でした。私たちの考えでは、コンピューティングには四つの柱がある。クラウド、データセンター、パソコン、携帯電話。将来的にはテレビもあります。マイクロソフトはクラウド向けのアジュールを発表したことで、すべての分野でプラットフォームを用意しました。

――パソコンとデータセンターでは強いが、携帯電話では劣勢です。

確かにパソコンでは90%以上のシェアを持つ。データセンターではシェア65~70%は占めているが、パソコンほど強くはない。携帯電話でのシェアはシンビアンが1位で、ウィンドウズモバイルは2位です。ほかにもたくさんのOSがある。しかし、ここはまだ新しい市場です。

クラウドでの最大の競合はアマゾン。グーグルにはプロダクトがないので、本当の意味でのプレーヤーとは考えていない。マイクロソフトはあらゆるところで1位になることを目指します。

――クラウド時代にはアマゾンがライバルですか。

アマゾンは優秀な会社だが、基本的に彼らはリテーラー。ハイテク業界の中核企業となる使命があるのかどうかわからない。アジュールはマイクロソフトのコアミッションに直結するが、書籍販売の会社にとっては、はたしてどうか。

マイクロソフトの場合、コアビジネスの一部がクラウドに移っていくことになる。クラウドにも力を入れなければ大事なビジネスを失ってしまうわけです。

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