景気後退でも2ケタ成長できる マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOに聞く

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――下方修正後も、2ケタ成長を目指しています。

ベストを尽くします。修正した売上高予想では下限で前年比7%増にとどまるが、上限では10%と2ケタ成長をあきらめていません。2ケタ成長を目指します。

――08年7~9月期の業績を見ると、クライアントOS事業の伸びが鈍化しましたが、これはビスタへの転換が進まず、今でもかなりウィンドウズXPが売れていることと関係があるのでしょうか。

基本的には二つの要素がある。まず第一に、パソコンの売り上げが真っ先に景気後退の影響を受けた。それから、同じパソコンでも安価なパソコンの成長が著しく、これはマイクロソフトにとっては収益の低いビジネスであること。あるいは、中国のように海賊版の多い、まったくマイクロソフトの収入につながらないところが伸びていることも影響している。日本の場合、パソコン市場は横ばいか少々下降傾向ですが、例外的に低価格パソコンのネットブックは好調。ただ、ネットブック経由のマイクロソフトへのロイヤルティ収入はほかに比べて低いのです。

――ネットブックで使われているOSはXPです。

そうです。ハードウエアの機能が不十分なので、最新OSは動かせない。しかし、クライアント事業の売り上げはビスタのマイナス面を反映したものではない。ビスタは好調だが、市場環境が期待していたほどよくなかったということです。

PERの計算では保有現預金を除外せよ

――次に株価の話を伺いたい。マイクロソフトの株価は現在約22ドルで推移していて株価収益率(PER)は11倍程度。ライバルのグーグルやアップルはPERが20倍ぐらいありますが、そうした市場の評価をどうとらえていますか。

グーグルの成長率はマイクロソフトを上回っているので、PERがより高いのは納得のいく話だ。

アップルはちょっと違う。アップルの分析の仕方はもう1通り考えられる。アップルの今現在の時価総額は800億ドルで保有現預金は200億ドルです。となると、実際の価値は600億ドル。600億ドルを純利益で割ればアップルのPERは10倍台になります。それに対して、マイクロソフトのキャッシュは250億ドルで実際の価値は1750億ドル。これでPERを比べれば、それほどの差はない。

石油会社を除くと世界には時価総額で天井を形成している最強の会社は三つある。マイクロソフト、GE、ウォルマート。これらの会社の時価総額は今や2000億ドルですが、相場が回復すれば、また上がります。

――GEにはウォーレン・バフェット氏が経営するバークシャー・ハザウェイが出資を決めました。

バークシャー・ハザウェイの時価総額は1770億ドルです。時価総額ではマイクロソフト、GE、ウォルマートが3強ですが、利益で見ればトヨタ自動車、マイクロソフト、GEが3強です。トヨタの昨年度の税前利益は220億ドルだったと記憶しています。トヨタのPERはマイクロソフトよりもっと低いが、それは自動車産業に新規性が少ないから。しかし、偉大な会社であることに変わりありません。

――株式市場から高い評価を受けてきたグーグルですが、その収益源は広告です。景気変動の影響を受けやすいと思うのですが。

確かに広告は景気変動の影響を受けやすい。ただ、検索連動広告が登場してから不況が訪れたことはないので、どの程度の影響があるかは今後を見なければわからない。

――マイクロソフトの広告収入への影響は。

年間30億ドル規模の広告収入があり、まだ成長していますが、間違いなくプレッシャーはかかっています。グーグルと異なり、われわれはディスプレー広告をかなり販売している。ディスプレー広告は、検索連動のように直接店舗へのクリックを促すダイレクトレスポンス型ではなく、ブランドイメージ広告です。だから景気後退の影響は大きく受けるはずです。

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