景気後退でも2ケタ成長できる マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOに聞く
――現在アメリカではグーグルが70%の検索シェアを握っています。ヤフーを買収できれば広告事業の状況は変わっていたでしょうか。
ヤフーの20%を加えれば30%のエンドユーザーを握ることになるので、広告主のほとんどはわれわれのキーワード広告のオークションにも来るはず。それによってエンドユーザーがまた増え、そしてさらに広告主が増えていく、という好循環が雪だるま式に始まるはずです。
検索サービスの質を上げるにはより関連性の高い検索結果を出さなければいけないが、広告もその結果の一部です。より広告主が多ければ、より関連性の高い広告を出すことができる。先日、『The Bank Job』という映画のタイトルを検索したところ、グーグルでは映画関連の広告が出ましたが、マイクロソフトでは「銀行口座を開設したいですか」という広告が出てきた。グーグルのほうが同じ検索ワードに対して入札をする広告主が多いので、より関連性の高い広告が表示されるわけです。
――ヤフー買収への再挑戦は。
ないでしょう。1株当たり33ドルでの買収を彼らは拒否したのです。だから、それよりも低い価格で受け入れるかどうか。それより、検索上でのパートナーシップという方法を見いだせるかもしれない。そちらに期待しています。
グーグルは非常に奇妙な会社
――ところで、最近のマイクロソフトは慈善団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」の活躍もあり、かつての傲慢なイメージから社会貢献に熱心なイメージに変わってきた。これは戦略ですか。
財団はビルの仕事で、わが社との連携はない。ただ、社会に対するビルの思いやりが、マイクロソフトのよい印象につながっていることは事実だと思います。
――ビジネスソフト部門を率いていたジェフ・レイクスさんは財団のCEOになりました。
彼とは今でもいい友人で、交流があります。女房同士も友人です。
――バルマーさん自身は慈善事業に興味はありますか。
将来的にはやりたいことも出てくるかもしれないが、これからまだ何年も勤めなければならないし、マイクロソフトと家族のこと以外はあまり考えている余裕がない。それから、時としてゴルフと(笑)。
――グーグルは尊敬すべきライバルとおっしゃった。IBMは?
彼らも尊敬には値する。ただ、彼らは何というか非常に奇妙(ファニー)です。新製品を発表しているわけでもないし、古い製品を更新しているわけでもない。クラウドに適したサービスはあるのだろうが、製品があるのかというと見当たらない。
――クラウド時代にはメインフレームの「システムZ」の処理能力と安定性が見直される、というのがIBMの考え方です。
その可能性はまったくない。クラウドでメインフレームが活躍する場などない。メインフレームはもはや時代遅れ。本当にクラウドを考える人たちに対して、IBMはそんなことを言えないはずです。
マイクロソフトが「ソフトウェア・プラス・サービス」と言っているのも、場合によっては時代遅れに聞こえるのかもしれない。だが、われわれはそれがクラウド時代の近代的なアプローチであることを必ず実証してみせます。
(撮影:今井康一 =週刊東洋経済2008年12月13日号)
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