商品開発部門と外部のデザイナーによって「あめやえいたろう」の見せ方が決まり、乙女心をくすぐるスイートリップなどが人気となり行列ができた。
そのため、生産が追いつかず、売り切れ続出となった。2013年、新たに「にほんばしえいたろう」をオープンし、少量多品種、小分けにした、かりんとうや豆を販売。
また、2017年の和菓子の日(6月16日)にはシニア世代をターゲットに糖分カットのようかんなどを扱う「からだにえいたろう」を立ち上げた。
現在は、お土産市場をターゲットに銀座江戸一から引き継いだピーセンにも力を入れている。「社風として温故知新を掲げている。これまでの味や方法をも守りながら、新しいことをやることには抵抗がない」と細田社長は話す。
細田眞社長は「お客様に愛されながらお客様に育てられ、それは今でも変わらない」と言う。
「のれん」は磨き育てるもの
百貨店の不振、コンビニの台頭、ネット販売で和菓子市場は大きく変化している。また需要層が高齢化しており、実際、日本橋本店の顧客層は50〜60代が多い。
一方、和菓子の販売数はほぼ横ばいで、和菓子自体が売れなくなっているわけではないが、主に百貨店に出店することで収益を保ってきた和菓子店の数が減少している。団子や季節商品をコンビニやスーパーで買う人が増加し、購入場所が変化していることを示している。
「それまでは手間がかからず高く売れる商品が収益につながっていた。現在は消費者が食べやすい小分けのものでないと売れなくなっている。だが小さくすれば包装費用などのコストがかかる。コスト削減をどこですればいいのか。材料を安価にして味を落としてしまうとお菓子屋としてダメになってしまう」と細田社長は胸中を吐露する。
百貨店の拡大時期の約100億円の売上高をピークに、現在は年商60億ほどまで減少。新ブランドで若い年齢層へのアプローチを図るが、拡大路線はとらずに黒字化を目指している。
また、細田社長は「和菓子は生活に密着しているがゆえにあまり変化してこなかった。節句に洋菓子も参入し始め、洋菓子があんこを使用することはあっても、洋風の材料やクリームを和菓子に取り入れるという発想はまだまだ少ない。もっと変わってよいし、可能性を秘めている」と考える。
6代目・細田安兵衛氏(相談役)の言葉を借りれば「のれんは守るものではなく、磨き、育てるもの」。
一企業であるものの、日本橋を代表並し、和菓子店を牽引する老舗企業の一社として、多くの日本橋仲間・和菓子仲間と生きてきた榮太樓。「日本橋では地元との付き合いが欠かせず、地元から愛されなければ続かない」(細田社長)。今後も日本橋とともに歩む榮太樓の挑戦は続く。
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