移民という「自死を選んだ」欧州から学ぶこと 「リベラリズムによる全体主義」がやってくる
欧州の指導者たちの決断が招いた事態
『西洋の自死 移民・アイデンティティ・イスラム』は、英国のジャーナリストであるダグラス・マレーの問題作にしてベストセラー、『The Strange Death of Europe: Immigration, Identity, Islam』の邦訳である。
その書き出しからして衝撃的だ。
「欧州は自死を遂げつつある。少なくとも欧州の指導者たちは、自死することを決意した」
そして、恐るべきことに、この書き出しが単なるあおり文句ではなく、否定しがたい事実であることが、読むほどに明らかになってゆくのである。
「欧州が自死を遂げつつある」というのは、欧州の文化が変容し、近い将来には、かつて西洋的と見なされてきた文化や価値観が失われてしまうであろう、ということである。つまり、われわれがイメージする欧州というものが、この世からなくなってしまうというのである。
なぜ、そうなってしまうのか。それは、欧州が大量の移民を積極的かつ急激に受け入れてきたことによってである。
本書には、移民の受け入れによって、欧州の社会や文化が壊死しつつある姿が克明に描かれている。1つの偉大な文化が絶滅しつつあるその様には、身の毛がよだつ思いがするであろう。しかも恐ろしいことに、この欧州の文化的絶滅は、欧州の指導者たちの決断が招いた事態なのである。
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