日本の宿を「空売り」、中国旅行サイトの正体 快進撃を続けるシートリップの手法
シートリップは1999年の創立以来、個人旅行者向けのチケットやホテル手配を中心に展開。中国では手薄だった電話を使ったカスタマーサービスを徹底的に強化したことなどが奏功し、2003年暮れに新規株式公開(IPO)を実施、アメリカのナスダック市場への上場も果たした。
世界のOTA上位3社の総予約売上高についてシートリップは、9月末までの1年間で6900億元(約11兆3000万円)に達したと説明。それまで世界最大だったアメリカのエクスペディア(976億ドル、約11兆円)やブッキングドットコム(912億ドル、10兆2700億円)を抜き、世界最大規模に躍り出た。なおこのシートリップの売上高には、同社が買収した航空券の検索サイトであるスカイスキャナーでの収入は含まれていない。
ヘビーユーザーも首をかしげるお粗末な事態
この快進撃について、シートリップの孫潔最高経営責任者(CEO)は、「AI、ビッグデータ、クラウドコンピューティングを駆使し、旅行に必要な商品をワンストップで提供するプラットフォームを作り上げたことが奏功した」と鼻息荒く語る。一方で「中国の経済停滞により、かなりの値下げ圧力を受けている(アメリカの経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル)」といった報道もある。
中国では旅行業界全体の売り上げのうち、実に6割近くがシートリップの関連企業によるものという分析も出ており、そういった事実を積み上げていくと、どうして日本で「カラ売り」といったさまつな悪事を働いたのか理解に苦しむ。
中国とかかわっている日本人の間でも、「高速鉄道の切符が同社のアプリで買える」「中国国内ホテルのバラエティーでは群を抜いている」などの特徴があって、駐在者が地方に出かけるのに便利と、シートリップの支持は比較的高い。
シートリップ発足以来のヘビーユーザー、と自称する上海在住の知人に今回のトラブルについて尋ねたところ、「過去20年近く使っているが、手配ミスは一度もないし、トラブルが起きそうなときは先に顧客担当がわざわざ電話までして来る。あのシートリップがカラ売りとはにわかに信じがたい」と不思議がっている。
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