あなたのマンション、修繕積立金が結構ヤバい 30・40代が知っておくべき「管理組合の内情」

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ある管理会社によると、間取りがほぼ同じようなマンションの場合、住民のスタンスはさほど違わないそうです。それが複合型のタワーマンションの場合、同じ棟内で意見がいくつも出てきて、折り合いがつきにくいといいます。そのような場合、理事会の多数決で決めますが、この多数決の票数に関しても、購入前に確認をしたほうがいいでしょう。なぜなら、下記の2パターンがあるからです。

A 1戸1票
B 所有する部屋の㎡数により票数が決まる

Aの場合、30㎡の部屋も、100㎡の部屋も、権利は1票となります。管理費は部屋の大きさに応じて変わるので、当然、広い部屋の所有者からは不満が出ます。このケースでは、数ある部屋タイプの中でも、最も戸数が多い部屋タイプの所有者の意見が、優遇される可能性が高いのです。

一方、Bの場合、広い部屋の所有者の価値観が優遇される傾向にあります。しかし、こればかりは正直、入居してみないとわからないものです。戸数が多いところだと、属性はさまざまだからです。タワーマンションの場合、事前に販売会社に、「AかBか」「どんな方が購入しているのか」を確認してみるといいでしょう。

将来の修繕費はマンションの販売価格に反映されない

実際、今マンションの管理組合で大きな問題を抱えているところがとても多いのです。それは、「修繕積立費問題」です。

販売時は、ほぼすべてのマンションが、「修繕積立費」を低く見積もっています。マンションには「大規模修繕工事」という、建物の安全性を保つために不可欠な施行を10年おきにしなくてはいけません。そのため、「長期修繕計画書」の作成が義務づけられています。販売時はその計画書の数字は少なめに見積もられているので、いざ1回目の大規模修繕工事の時期になると「お金が足りない」と騒ぎになり、修繕費の値上げや追加徴収が浮かび上がります。そのころには、中古で購入した住民もおり、入居後数年で予定外の大きな出費を抱え、大問題になるのです。

マンション管理新聞社が調査した、2018年1〜3月期新築マンション修繕積立費のデータによると、修繕積立費は1㎡当たり177円/月でした。標準的なファミリータイプである70㎡に換算すると、1万2390円/月です。実はこの数字、ここ2年ほど改善傾向にあります。

ところが、問題は中古物件です。5年未満は104円/月(70㎡換算で7280円/月)、5年以上10年未満は143円/月(70㎡換算で1万0010円/月)、10年以上20年未満は166円/月(70㎡換算で1万1620円/月)となっています。

このように、国土交通省の指導で新築マンションは改善傾向にあるものの、この数字でもまだ安心できません。20年未満の中古物件を購入する際は、積立費などに関して特に注意が必要です。

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