名門パイオニア、ファンド傘下入りの「覚悟」

3000人規模リストラも計画だが、視界は不良

12月7日、記者会見後に握手するパイオニアの森谷浩一社長(左)と、今後傘下に入る香港系投資ファンド、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジアのジォーン・エリック・サラタCEO(編集部撮影)

かつては「名門」と言われ、革新的な技術を生み出してきた創業80年の老舗メーカーのパイオニア。経営再建を模索していたが、香港系投資ファンドの傘下に入ることになった。12月7日、パイオニアはベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(以下ベアリング)と経営再建計画で合意したと発表。ベアリングが総額1020億円を投じてパイオニアを買収する。

具体的なスキームはこうだ。パイオニアが来年1月25日に開く臨時株主総会で承認を得た後、来年3月をメドに第三者割当増資を行って、ベアリングから770億円の出資を受ける。その後、残りの株式もベアリング側が250億円で株主から買い取る。買い取り額は1株当たり66.1円で12月7日の終値の88円よりも25%安い。株主にとっては厳しいスキームとなる。

早ければ、2018年3月中にパイオニアはベアリングの完全子会社となり、上場廃止になる。会見を開いたパイオニアの森谷浩一社長は「サポートしてくださっていた株主の皆様には申し訳ないが、この改革をしなければパイオニアの未来はない」と覚悟を示した。

人員削減や事業整理にも着手へ

ベアリングのジォーン・エリック・サラタ会長兼CEOは、「パイオニアの技術力、ブランド力、人材という強みを活かしながら、まずは迅速な財政基盤の安定化が求められる。そのための非上場化だ」と語った。ベアリングは2006年に日本法人を設立。ホームセンターのジョイフル本田など国内7社、総計2750億円の投資実績を有する。パイオニアがDJ事業を売却する際も名乗りを上げた経緯がある。

パイオニアの森谷社長は、12月7日の会見で経営再建計画「パイオニア再生プラン」を発表した(編集部撮影)

森谷社長は経営再建計画の具体的な内容について明言を避けたが、財務基盤安定を最優先に、2年間で全体の約15%に当たる3000人規模の人員削減や事業整理、拠点の統廃合などを進めるとした。取締役は森谷社長を残して5人が辞任し、臨時株主総会後にベアリングからの新たな取締役を受け入れるが、パイオニアから改めて選任される可能性もあるという。

「社内はざわついているが、方向性が決まってよかった」。リストラや事業再編の不安もある中、ある社員は取材に安堵した気持ちを吐露した。

パイオニアは今年5月にカーナビを自動車メーカーに販売するOEM事業で大規模な損失が見込まれると発表。抜本的な対策を早急に講じるため、スポンサー探しに奔走していた。6月には、10年間社長を務めた小谷進社長(現会長)が退任し、森谷社長がバトンを引き継いだ。しかし、2018年4〜6月期決算では資金繰りの懸念から「継続企業の前提に関する疑義注記」が付いた。銀行にOEM事業の再建案を示せず、シンジケートローンの借り換えを拒否される事態に陥ったからだ。

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