日本人がデザインで活躍する時代予測―2041年
デザインにおいて、日本人がまったくダメというわけではありません。ただ向いている時期、向いていない時期はあるため、自分たちがどの時代に合っているのか、ということ、をわかっている必要があると思います。
ファッション界において、日本人が得意とする時代は、1980年代に訪れました。今の若い方はほとんどご存じないと思いますが、その昔日本には“カラス族”と呼ばれる人たちがいました。黒と白のモノトーンの服を愛し、黒をまとった姿がまるでカラスのようであったことから“カラス族”と言われたようです。このカラス族ファッションの火付け役は、コムデギャルソンの川久保玲氏とワイズの山本耀司氏。“カラス族”のモノトーンコンセプトは、日本内だけではなく、世界でも衝撃を巻き起こしました。
1983年春のコレクションでは、この2人のブランド、コムデギャルソン、ヨウジヤマモトの仕事が注目されてくるようになりました。千村典生著『ファッションの歴史』には「西欧の伝統的な洋服の美学である、クチュール(裁縫)によるコントラクション(構成)の美しさを無視したもので、“東からの衝撃”といわれて、ヨーロッパのファッション界に強い衝撃を与えました」とあります。
さらに、この年の秋冬コレクションでは、初めてパリコレに日本人デザイナーが11人も登場し、世界からは脅威として受け止められたのでした。
日本の得意分野はシンプリズム
さて、この“東からの衝撃”について考えてみましょう。
以下はまったく個人の見解ですが、日本の得意とするところは、シンプルな美しさであると感じます。白い紙に黒い墨で描く水墨画、古くから用いられる家紋。今年はやりのタータンチェックは、もともとスコットランドで氏族を表す模様として使われました。いわば、家紋。使い方が違うとはいえ、日本人の多くは、これが家紋であるということに驚かれるでしょう!こんなにカラフルで複雑なのですから。それに対し、日本の家紋のシンプルなこと!
こんな文化を持った日本人は、ピクトグラムデザインも得意です。現在、非常口のデザインになっている国際的なピクトグラムも元多摩美大教授の太田幸夫氏のチームによるものです。極限のシンプルさの中に世界観を表現することは、日本人の得意とするところなんですね。
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