ゴーン氏vs特捜部、これからのシナリオは?

史上最も著名な外国人経営者をどう扱うのか

アメリカでは自己負罪型、共犯密告型、他人密告型のすべてが導入されている。ドイツでは自己負罪型と共犯密告型のみ。フランスの場合は、司法取引といえば軽い罪の案件で手続きを簡素化する制度があるだけで、こういった形の司法取引は導入されていない。

これに対し日本は自己負罪型を導入せず、共犯密告型と他人密告型だけを導入した。今回、日産が応じた司法取引の類型がどちらなのかは現時点では不明だが、佐藤弁護士は結果として民間企業の内部抗争に検察が荷担することになる点を問題視している。

三つどもえの対立への影響

今回の一件が特異なのは、本件がルノーと日産、フランス政府の3社間に存在する、経営統合をめぐる三つどもえの対立関係に影響を及ぼす点にある。

佐藤弁護士は「検察は司法取引の2例目として、慎重に事案を選んだつもりだろう。しかし、今回のケースは背景に内部抗争があることは明白で、かつ司法取引は手を汚した者を見逃すことを意味する。つまり、検察はゴーン氏追い落としに荷担したことになる。それは民事不介入の原則に反するのではないか」という。

白取教授も「捜査のために今回使われたとされる司法取引が、企業内部の対立を利用したものだとしたら、その使われ方が妥当だったのか、今後問題とされる可能性がある」という。

ゴーン氏の代理人弁護士に、元東京地検特捜検事の大鶴基成弁護士が就任したことが報じられている。

一般に、検事出身の弁護士は、容疑事実は認め、情状酌量を求めるなど刑の軽減を狙う場合には適任だが、否認して徹底的に争う場合には適さないと考えられている。にもかかわらず、容疑を否認しているゴーン氏が選んだのは検事出身の弁護士だった。

はたして本件は、上記のような検事出身の弁護士に対する評価を変える機会になるのだろうか。

東京地検特捜部としては、ゴーン氏ほどの大物経済人を逮捕した以上、失敗は許されない。失敗すれば外交問題にも発展しかねない。そしてルノー・日産のアライアンスはどうなるのか。ありとあらゆる視点から、日本だけではなく、全世界の注目が集まっている。

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