ゴーン氏vs特捜部、これからのシナリオは? 史上最も著名な外国人経営者をどう扱うのか
しかし、容疑の否認を続けている場合は、起訴後も身柄の拘束が続くことがほとんどだ。刑事訴訟法60条1項に、起訴後も証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合などは勾留を継続できることが定められており、この条項を理由とした勾留が続く。
実際、イトマン事件で逮捕された許永中氏は883日、鈴木宗男事件で逮捕された元外交官の佐藤優氏は512日も勾留された。
2009年の郵便不正事件で検察の捜査のあり方が批判にさらされたことを機に、近年は否認していても保釈が認められるケースも増えてはきたものの、それもあくまでかつてに比べての話にすぎない。実際、昨年7月に逮捕された森友学園の籠池泰典前理事長夫妻は298日間も勾留された。
もっとも、長期勾留は日本だけの問題ではないらしい。フランスの司法制度に詳しい神奈川大学法務研究科の白取祐司教授によれば、「日本の長期勾留は問題だが、フランスでも未決拘禁(起訴決定後有罪か無罪かを決めるにあたり、公判を開くかどうかを決めるまでの間の身柄拘束)の長期化は問題になっており、それ自体、日本固有の問題というわけではない」という。
また、まず任意同行をして事情聴取をするのが普通なのに、いきなり逮捕に及んだことについても、「外国人なので海外に逃亡されることを防ぐためにそうしたのでは」とみる。
外国人ゆえの配慮の可能性は?
そもそも日本語が堪能ではない外国人のゴーン氏の場合、取り調べはどのように行われるのかという素朴な疑問が湧く。検察官とのやり取りに通訳はつくのかつかないのか。日本語で書かれる供述調書の内容をどうやって理解させ、署名を求めるのか。
刑事被告人となった著名人が自らの経験をつづった書籍を読むと、必ず登場するのが検事から自らの供述とは異なる内容の供述調書への署名を強要される場面だ。書面自体を見せられることなく早口でざっと読み飛ばしただけという例もあれば、書面を渡され、じっくり読む時間を与えられている例もある。
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