墜ちたカリスマ、日産ゴーン会長逮捕の衝撃 西川日産社長は「負の遺産」とゴーン決別宣言
カリスマが地に墜ちた――。
東京地検特捜部が11月19日、仏ルノー・日産自動車・三菱自動車の会長を兼務するカルロス・ゴーン氏と、代表取締役のグレッグ・ケリー氏を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕した。2人はゴーン氏の報酬を有価証券報告書に少なく記載していたほか、会社の投資資金や経費を私的な目的に支出するなどしていた疑いがある。こうした不正に、ゴーン氏側近であるケリー氏が深く関与していたという。
突然のトップ逮捕を受けて、日産の西川廣人社長は19日夜10時から横浜市にある本社で約1時間半にわたる記者会見を実施。前代未聞の事案なだけに、記者やカメラマンら300人近くが集まった。西川社長はゴーン氏の会長解職を22日の取締役会で提案すると発表し、長く続いた日産ゴーン体制と決別する覚悟を示した。
社内調査で判明した「3つの不正」
ゴーン氏は“コストカッター”と呼ばれた辣腕やカリスマ的な人気の恩恵も受けて、1990年代に破綻寸前の状態に陥った日産を救い、今や世界的な企業に復活させた。しかし、西川社長はこの日、「捜査にかかわる」として事件の詳細には触れない一方、ゴーン氏に対して「負の遺産」「(ゴーン氏)1人に権限が集中しすぎた」などと、反省と辛辣な言葉を並べ立てた。
突然の発表から明けた20日の株式市場で、日産の株価は前日比64円安の941円で始まった。会見の詳細は以下のとおりだ。
――会見の趣旨は何か。
社内調査の結果、ゴーン氏に重大な不正行為が3点あることがわかった。報酬減額を記載した不正、私的な目的での資金不正、経費の不正支出だ。現在、当局の捜査中でもあり、内容については細かく触れられない。ただ断じて容認できる内容ではない。専門家も重大な不正行為で会長の解任たるものだとしており、解任を提案することにした。
――どういう経緯だったのか。
概略は内部通報に端を発した社内調査を行い、複数の不正を確認した。本件の内容からして事案を当社から検察当局に報告し、これまで当社と当局が(調査を)協力して進めてきた。これは今後も進めていきたい。私からは捜査の進展には触れられない。だが、当局と協力した結果、今日の逮捕に至ったと理解している。
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