墜ちたカリスマ、日産ゴーン会長逮捕の衝撃 西川日産社長は「負の遺産」とゴーン決別宣言

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――法人としてゴーン氏を告発しないのか。

今日答えることはできないが、当然、そうするに値するような事案だ。どうするかはこれからだ。

――今回はゴーン氏に不満を持つ人のクーデターにも見えるが…。

今回の件は事実として不正を除去するためのものだ。権力が集中して、それに対してクーデターがあったとは理解していないし、そう説明したつもりはない。権力は長い間に徐々に形成されてきたとしか言いようがない。ただ言えることは、ルノーと日産の両方のCEOを兼務していたのは無理があったということだ。

2016年11月のインタビューで(撮影:梅谷秀司)

――ケリー氏の役割は何だったのか。

長い間、ゴーンの側近としてさまざまな幅広い仕事をしていた。そういう意味で相当な影響力を持って社内をコントロールしてきたのが実感であり、実態だ。ただ、近年はゴーンに対するサポート以外の機能はなかった。影響力は徐々に落ちてきたとみている。

――今回の件を本日発表するまで社内で把握していたのは誰か

言えないが、数名の単位だ。

転機は2005年に

――ゴーン氏はカリスマ経営者か?暴君か?

正直言って、今に至るまで当面の対応に追われていたので、これからじっくりと考えたい。ほかの人間ができなかったことを、特に初期に大きな改革をした実績は紛れもない事実だ。その後については功罪両方がある。ゴーンCEOとしてトリガーを引いたことやチャレンジしたものは、多くの従業員も仕事としてやってきた。その部分の価値が毀損するものではない。

最近の状況はやや権力に長く座っていたことで、ガバナンスだけでなく、業務でも弊害が出ていた。現場から離れており、彼に日頃からリポートしている人間は限られており、間違った判断を限られたインプットでしてしまう。そうした問題点が昨今は多く見られた。

――そもそもゴーン氏への高額報酬は必要だったのか。

報酬についてコメントするのは適正ではない。日本全体でいろいろな議論があり、総論として、日本だから低い、欧米だから高いということは是正されてきている。

――ゴーン氏の権力を許してきたのは、今の経営陣ではないのか。自身の責任は?

振り返ってみると、猛省すべきところはあった。ゴーンは2005年にルノーと日産のCEOを両方兼務することになったが、その結果、どういうことが起きるか、あまり議論してこなかった。その辺が転機だった。私の責任という点では、会社を正常化して先に進めるためにやることが山積している。非常にさまざまなことをスピード上げてやっていきたい。

――日産はゴーン体制でこれまでホームマーケットの日本を軽視してきた。

日本市場を軽視していることはない。できるだけのことをやって日産インテリジェントモビリティも評価されている。経営会議メンバーの人間は日本マーケットそのものの価値を十分にみている。ただ、過去にはその部分が十分事実として認識され、意思決定されたかというと、そうではない時期があった。商品投入を誤った時期はあった。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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