「SNS映え」に没頭する日本人はヤバくないか 人生100年時代「3人のパートナー」が必要だ

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辛酸:また、お墓や葬儀など「送られ方」に関する葬儀ビジネスのくだりも印象的でした。お棺に好きな写真をプリントしたり、遺灰を収めたカプセルをロケットや人工衛星に搭載して宇宙へ打ち上げる宇宙葬にしたりと、終活もクリーンでポジティブなイメージを帯びてきています。

坂口:40代が考える終活と、高齢者になって死を間際に感じるときに考える終活は違うのかもしれませんが、終活はますます身近なものになっていますね。

辛酸:連絡先やパスワード、暗証番号の管理、預貯金口座や金融資産のリストなど死後問題に備えることは、今から始めたいですね。

伝統工芸と縄文時代にヒントがある

辛酸:最近は転職をしたり、パラレルキャリアについての議論も盛んになったりして、1人の人がずっと1つの仕事を続ける時代ではなくなっています。だからこそ、これからの時代を生きていくには、ずっと続いていく伝統工芸みたいな仕事に携わっていたほうがいいのかな、とも考えるようになりました。

坂口:それを聞いて、かつて上岡龍太郎さんが「自分は伝統芸能を受け継いでなかったからより所がない」といって漫才を引退されたことを思い出しました。あれだけすごい話芸の人が、なおも伝統芸を重んじていることが印象深かった。サラリーマンの歴史ってたかが200年ぐらいのもの、かたや伝統芸は数百年から数千年の歴史があります。

辛酸:最近、縄文展に行って土器を見てきたのですが、やはりそこでも地球のエネルギーを宿した器や芸術品が今の世にとって必要なのでは、と感じましたね。

「縄文時代や伝統工芸にも私たちが生きるヒントがありそうだ」と話す辛酸氏(撮影:菊岡俊子)

坂口:縄文時代の後の弥生時代になると、大陸の文化や農業が入ってきたことで管理システムが構築され、貧富の差が生まれたといわれています。

しかしそれ以前の縄文時代の狩猟をしていたときには、獲物を捕れる日も捕れない日もある。

そんな条件の下では、全員平等に扱われて、戦が存在しなかったらしい。岡本太郎の文献にも、縄文文化を再発見する、という言葉もありますね。

辛酸:縄文時代やこれまで受け継がれてきた伝統工芸にも私たちが生きるヒントありそうです。

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