コマツ、「超優良企業」に吹く逆風 鉱山機械がまさかの急落 挽回のカギはハイテク建機

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ハイテク建機で先行 再成長へのカギに

こうした逆風の中、コマツが今後の収益柱として力を入れるのが、情報通信技術(ICT)を活用した次世代ハイテク建機だ(写真)。

たとえば、前後進するだけで掘削工程から仕上げまでを自動で行えるICTブルドーザーを世界で初めて開発、6月に北米で販売を開始した。ブルドーザーは建機の中でも操作が難しく、操縦員不足が深刻な先進国での自動化ニーズは高い。北米ではICT建機が届くや否や売れていく状態が続く。コマツは北米向けのブルドーザーを15年度までにすべてICT機にすることを目指す。

日本でも国がブルドーザー工事などの情報化推進を掲げ、建機のICT化の土壌ができつつある。コマツは、北海道、東北を皮切りに、ICT建機のレンタルを始めた。

まだ緒に就いたばかりのICT建機だが、可能性は大きい。ICT建機の単価は通常の建機の1.4倍程度と高く、採算もよい。飽和する先進国での建機需要掘り起こしも期待できる。

鉱山機械の復調に加え、世界に先駆けたICT建機の成長がコマツ復活のカギとなりそうだ。

週刊東洋経済2013年11月30日号

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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