コマツ、「超優良企業」に吹く逆風 鉱山機械がまさかの急落 挽回のカギはハイテク建機

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市場構造が大きく変化 強みの予測力が通じず

今回、コマツが需要減退を見抜けなかった背景には、鉱山機械の主な買い手が、先進国の資源会社から、新興国の現地資本に移ったということもある。

先進国企業は、多少、資源市況が悪化しても、機械の稼働に応じて一定の更新投資を行うが、新興国企業は、ひとたび収益環境が低迷すると、新たな機械の購入を極限まで手控える傾向が強い。

コマツを最も悩ませるインドネシアは、石炭生産量は足元でも前年比でプラスに推移している。にもかかわらず、現地企業の建機への投資意欲は戻る気配がない。

そもそもコマツは、需要予測の精密さでは業界内で一目置かれる存在だった。GPSと衛星通信を活用し、全世界のコマツ機の位置情報や稼働状況をリアルタイムで把握する独自システムを持ち、01年からは全建機に標準装備している。資源価格や資源会社の生産計画に加え、機械の稼働状況など新たな指標を構築し、需要予測の精度を高めてきた。

ただ今回、全世界的に稼働は高水準なのに、建機に対する投資が落ち続けるという、かつてない状況の前に、なすすべがなかった。

藤塚CFOは「新興国プレーヤーが増え、業績予想を立てづらくなった」と嘆く。

コマツを牽引してきた鉱山機械市場だが、その回復は緩慢そうだ。IMF(国際通貨基金)の予測によれば、石炭価格は15年まで緩やかに下降し、その後も横ばいが続く見通しだ。エネルギー・資源市況に詳しい新村直弘マーケット・リスク・アドバイザリー代表は、「鉱山機械需要は、多少上向くことはあっても、10年程度先まで(回復の)動きは鈍いだろう」と分析する。

大橋徹二社長は「コスト競争力の高い鉱山からは、無人ダンプトラック運行システムのような高付加価値製品の引き合いは強い」と言うものの、これまでのような鉱山機械バブルはもはや当てにできない。

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