コマツは中国の模倣部品とこう戦う 建機需要が伸び悩む中、情報技術で部品をテコ入れ
中国で跋扈(ばっこ)する建設機械の模倣部品を駆逐すべく、コマツが補修部品ビジネスのテコ入れに乗り出した。
ショベルのバケットのつめや、エンジン・油圧機器に用いられる各種の消耗部品など、建設機械を稼働させるには大量の部品が必要だ。約10年動かすのに必要な補修部品の金額は、新車価格数千万円の一般建機で新車価格と同程度、1台数億円になる鉱山機械では新車価格の2倍以上になることもある。
しかも、部品は新車に比べて利益率が高い、おいしいビジネス。
ところがここに立ちはだかっているのが模倣部品メーカー。特に深刻なのは中国で、2000年代の建機市場の拡大とともに模倣部品メーカーが大増殖している。「新製品発売の1カ月後に模倣部品が市場に並ぶ」(コマツの北秀孝アフターマーケット事業本部長)ほどのすさまじい状況だ。
模倣部品メーカーは「日本メーカーの純正部品あります」などと書かれた看板を堂々と掲げ、コマツなどメーカーのロゴが入った模倣部品を純正部品の半値以下で売りさばいている。コマツの純正部品の比率は中国ではわずか2割にすぎず、部品ビジネスの障害になっている。
こうした模倣品から市場を奪還するためにコマツが投入するのが、部品管理システム「コムトラックス パーツ」。試験導入を続けていたが、13年度下期に、中国で中型油圧ショベル向けの部品から実用化する。
これまでも、コマツはGPSと建機本体のセンサーを用いた稼働管理システム「コムトラックス」で機械の位置や稼働時間、異常の有無をつかみ、サービス員の顧客訪問スケジュールの作成に役立てていた。
コムトラックス パーツでは、エンジン回りの部品や燃料フィルターなどの主要部品一つひとつにICタグを取り付け、部品の交換履歴や純正品かどうかを遠隔で一元管理できるようになっている。建機の状況の“見える化”を部品単位にまで広げるわけだ。
これにより、部品交換に最適なタイミングで顧客訪問をしたり、模倣部品を使っている顧客には、模倣品は品質が劣るなどのデメリットを説明、純正品を売り込むといった対応が取りやすくなる。
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