1日5万本売るパン屋が一等地出店しない理由 香川の製麺所をめざした「乃が美」の発想

なぜ、東京が最後だったのか
2013年に大阪で生まれた「乃が美」が、東京初の店舗、東京麻布十番店をオープンした。これまで全国で100店舗以上も展開していながら、東京には1軒も店がなかった。
「乃が美」の総本店は、近鉄奈良線の大阪上本町駅から歩いて5分の場所にある。駅近ではあるが、わかりやすい立地ではない。工場を併設した小ぶりな店は、本通りから1本入った裏路地にある。が、創業5年が経つ今でも、この路地には毎朝早くから何十人もの行列ができる。
ひとつの工場で一度に焼けるパンの数は、30〜40本。窯をフル稼働して1日約800〜1000本。それが、またたく間に完売となる。2013年にこの1号店を、翌年には西宮市に2号店を開いた。こちらも駅近ながら、ごくごく普通の住宅地。「街中」には程遠いこの場所にも、人が集まってくる。行列が立ち並んだかと思うと、やはりすぐに売り切れる。
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