プーチン大統領が北朝鮮との会談を急ぐワケ 北朝鮮とロシアが初の首脳会談開催へ

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北朝鮮労働者は熟練度が高く安価なことから、極東ロシアでは貴重な労働力となっている。北朝鮮労働者の送還が制裁内容に加わったことに、ロシアの政財界は反発。制裁の早期緩和実現はロシアにとっても重要課題となっている。首脳会談では北朝鮮労働者問題そのものが話題となる公算は大きい。

一方、両国間で摩擦を引き起こしていることから議題となる可能性があるのが、北朝鮮船によるロシア領海での違法操業だ。北朝鮮船による違法操業は以前から極東ロシアで問題となっていたが、台風に遭遇した北朝鮮の漁師がロシア沿岸に避難したことで再び注目されるようになっている。

避難した北朝鮮人漁師の中には、生態系の保護のために立ち入りが制限されている区域で違法操業していた者さえいた。駐北朝鮮ロシア大使館はロシアのジャーナリストから問題の指摘を受けたのをきっかけに、北朝鮮政府に対して正式に抗議したと伝えられる。

ロシアとの会談は安心材料になる

細かな案件としては、北朝鮮がロシア国内で商社を設立する計画のほか、学術交流、観光、文化イベントなどで合意する可能性がある。これはロシアのアレクサンドル・マツェゴラ駐北朝鮮大使が推し進めている路線で、同氏は北朝鮮の中学生によるロシア訪問など、さまざまな機会を利用して北朝鮮の孤立を和らげようとしている。

金正恩氏はこれまでに海外首脳と都合7回の会談をこなしている。ロシアからの誘いをこれ以上、無視し続けることができないのは明らかだ。

金正恩・プーチン会談の具体的な日程や内容、場所はまだ明らかになっていないが、両者には語るべきことが山とある。友好的な二国間関係の再確認、制裁緩和に向けた協力体制の強化、長らく止まったままとなっている経済プロジェクトの再開などだ。会談後に共同声明が出されるのであれば、これらのテーマに言及されるのと同時に、北朝鮮とロシアの関係強化がうたわれることになるだろう。

金正恩氏は2回目の米朝首脳会談に加えて、年内にソウル訪問が控える。こうした大イベントを前にロシアとの盟友関係を確かめることができれば、金正恩氏にとっても安心材料となるに違いない。

筆者のフィヨドール・テルティツキー氏は「NK Pro」(北朝鮮ニュース有料版)のニュースアナリスト。オリバー・ホッサム氏は「北朝鮮ニュース」のマネジング・エディター。
「北朝鮮ニュース」 編集部

NK news(北朝鮮ニュース)」は、北朝鮮に焦点を当てた独立した民間ニュースサービス。このサービスは2010年4月に設立され、ワシントンDC、ソウル、ロンドンにスタッフがいる。日本での翻訳・配信は東洋経済オンラインが独占的に行っている(2018年4月〜)。

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