世界に出たい企業と、"出国拒否"の社員たち 海外赴任から逃げきれますか?

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ちなみにイマドキの学生たちは、海外挑戦に対する意欲は下がっている様子。経済協力開発機構(OECD)が先月発表した調査結果「図表でみる教育2013年版」。この調査によると、大学など高等教育機関に在籍する日本人のうち、海外に留学している学生の割合は、日本は1.0%で、比較できる加盟国33カ国中、ワースト2位。日本人学生の内向き傾向や外国に出るリスクへのおそれが原因ではないか、と指摘しています。さらに

「日本の学生は留学しなければいけないというプレッシャーを感じていない。世界に出て、広く見聞し、経験するチャンスがあるのに、それを逃している」

とキツイ一言。こうした志向は社会人になってからも変わらない様子。会社が海外で事業を展開して、国内の人材を海外に配置転換させる必要に迫られたときに

「海外転勤だけは勘弁してください。国内であれば、どこでもいいですから」

と懇願する人が増加しています。

総合商社勤務でも、海外はイヤ?

一方、グローバル化を標榜する会社は、海外赴任をいとわない(むしろ希望している)人材を確保しておきたいもの。そこで海外志向の強い帰国子女を採用するとか、一般社員に対して海外赴任の意欲を高めるため、

・家族に対する優遇措置

・短期留学制度

など施策を打ち出す会社が登場しています。ところが、こうした施策を打っても「海外赴任はNG」のまま。取材したあるメーカーでは、海外研修制度に応募する若手社員が5年で半減。

「昔は海外赴任して一旗揚げる存在になりたいと考える社員がかなりいたが、変わってしまった」

と社長が嘆いていました。

ただ、それは20年以上も前の話。最近は「子供の教育」や「家族の反対」などを理由に、何とか海外赴任から逃れようとします。おそらく自分としても不安があり、「行きたくない」が本音。

海外勤務が当然のように思える総合商社でも、「時差がある地域に赴任して、日本の時間に合わせて深夜に会議するのが嫌……などと、ネガティブに考える人を何人も見ました。産業能率大の調査によると、新入社員の半数が「海外で働きたいと思わない」と回答しているそうです。まさに「内向き志向」が拡大しています。

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