アメリカ中間選挙「元トランプ支持者」の行方 女性や浮動票は民主党になびくのか

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たとえば、ミズーリ州民主党上院議員クレア・マカスキル氏は、8月下旬カンザスシティ郊外で民主党の支持者は共和党支持者よりも活気があり、今年は共和党の政策に反対すると胸を張って豪語した。同議員は選挙事務所で支持者に対し「こんなに民主党に活気があると感じた選挙戦は初めて」と語った。

一方、2016年の大統領選では、トランプ大統領が20ポイント以上の差をつけて勝利したカンザス州では、現在は共和党が4議席すべてを確保しているが、改選となる2議席のうち1つは勝てる情勢でもう1つは接戦となる見通しだ。知事選についても、共和党支持者間で誰を支持するか分裂しており、中には民主党候補を応援する共和党支持者も出てきている。

最後まで余談を許さない状況

トランプ大統領が40ポイント以上で勝ったウエストバージニア州でも、同大統領に投票した支持者たちが不満を募らせている。その1人、元陸軍空中挺進部隊少佐のリチャード・オジェダ氏は、今回民主党から下院選に立候補し、強烈なキャラを生かし共和党の候補と接戦を展開している。

同氏は炭鉱が盛んな地域出身で、トランプ氏についてこう語っている。「彼は炭鉱産業を助けたが、合成麻薬鎮痛剤中毒が州をズタズタにしている。彼が海外から取り戻すといった仕事はまだ戻っていない。何千人もの炭鉱作業員は、自分の家族に飯を食わさせられるとウエストバージニアにいる。しかし、仕事を3つ持っていないと生きていけない」。

とはいえ、民主党には勝利の寸前で負けるという「お家芸」があり、世論調査はまだ投票者の思惑を正確には反映していないかもしれない。2016年のヒラリー・クリントン対トランプを思い返してみればいい。反トランプの動きが活発になることは、同時にトランプ支持者の動きを活発化させることにもつながる。実際、共和党支持者と民主党支持者の「活気の差」は夏以降縮小をしている。現在、世論調査では、アメリカ人の過半数がトランプ大統領の不支持を表明しているが、共和党員からはまだ、8割を超える高い支持を得ている。

8月、カンザス州中央部セントメリーの農村でそれは明らかだった。保守派の共和党下院議員ロジャー・マーシャル氏は、コーヒーとマフィンを囲んで20人弱の有権者と会っていたが、そこでは支持者の1人が、長期的な利益のために短期的な痛みを受け入れると語っていた。トランプ大統領の貿易政策は農家の輸出を直撃するにもかかわらず、だ。

今回の中間選挙は、トランプ大統領そして世界にとって、今後の運命を左右するものとなる。共和党が下院で負けることになれば、トランプ政権の「暴走」に歯止めがかかるかもしれないが、両院で勝つことになれば、トランプ政権は勢いづき、その次の任期も視野に入ってくるだろう。

ジェームズ・シムズ ジャーナリスト

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James Simms

1967年生まれ。米紙ウォールストリート・ジャーナル元コラムニスト。日本で幼少期を過ごし、小泉政権の経済政策などを取材。元外国特派員協会会長 。現在フリーランスのジャーナリストとして『フォーブス』誌などに寄稿するほか、テレビコメンテーターも務める。

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