アメリカ中間選挙「元トランプ支持者」の行方 女性や浮動票は民主党になびくのか
たとえば、ドイツはすでにヨーロッパはアメリカとの関係を再調整しなければならず、完全に頼ることはもうできないと述べている。つねにチャンスをうかがっている北朝鮮は、トランプ大統領が金正恩朝鮮労働党委員長に、熱心に取引を持ちかけているにもかかわらず、次の大統領から核やミサイルについてもっと有利な取引ができるとの望みに賭けて、今は辛抱するという決断を下すかもしれない。
トランプ大統領が新たに4年の任期を得るか、あるいは、残りの2年の任期中に外交で大暴れすると考え、トランプ大統領に「倍賭け」する国もある。韓国とメキシコはすでにそう考え、アメリカとの貿易協定を再交渉した。一方、日本はトランプ政権との関係悪化を恐れており、安倍晋三首相のもとではなおさら、トランプ大統領との緊密な関係を望んでいる。
農業については妥協を迫られる可能性
同盟国、あるいは敵対国がトランプ大統領を完全に拒絶するのは困難かもしれない。トランプ大統領は、貿易相手国に対する要求を増大させ、自身の支持を増やすために強硬な態度をとるかもしれず、貿易の利益のために安全保障を利用するようには見えない。これは安倍首相にとって、大規模な関税なしに自動車メーカーがアメリカに自動車や部品を輸出し続けられるようにするために、農作物の輸入に関して譲歩を迫るものになるかもしれない。
確かに、アメリカは日本の16兆円の自動車輸出の3分の1以上を担っており、アメリカ市場は日本の自動車メーカーにとって最も利益を出している市場のひとつだ。たとえば2018年3月期のトヨタ自動車の営業利益2.4兆円は、その20%近くが北米の市場と自動車金融、つまりアメリカからのものだった。これを踏まえると、国内総生産(GDP)の約1%にすぎない農業に関して、譲歩することはフェアな妥協点であると思われる。
さて、アメリカに目を転じると、戦況はトランプ大統領と共和党にとって厳しい。郊外の共和党支持者、特に女性、と浮動票が共和党に背を向ければ、下院だけでなく、上院も民主党が逆転するかもしれないし、州知事や州議会がひっくり返る可能性もある。
実際、10月30日に発表されたNPR/PBS・マリスト世論調査によると、投票の可能性が高い有権者のうち、52%が民主党下院候補に、43%が共和党下院候補に入れると回答している。郊外に住む大卒以上の共和党支持者と無党派層、特に女性はトランプ氏の振る舞いや発言、行動に嫌悪感を抱いている。大卒以上の白人女性だけに絞ると、61%が民主党、36%が共和党に投票するとしている。
2016年にトランプ大統領を強く支持し、現在も共和党支持者が多い中西部も、反トランプの動きに加わる可能性がある。
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