「末期がん患者」がスイスに殺到する裏事情 安楽死と尊厳死の違いを知っていますか?
尊厳死と安楽死の異同をまとめてみると、このようになるかと思います。
自殺的要素と他殺的要素の有無については異論のあるところかもしれません。尊厳死こそ自然死と考える立場の人は、自殺的要素など皆無と言うでしょう。しかし、体のあちこちにチューブをつけられる”スパゲッティ症候群”になるのは御免と、栄養補給のための胃管や点滴を拒み続ける行為は、餓死を意図して断食を決め込むそれと多分に似て、死に急ぐ自死行為と言えなくはありません。
安楽死は、オランダを除けば自ら致死量の薬を飲んだり、それが入った点滴のストッパーをあけて自らの血管に流し込んだりするのですから、多分に自殺的要素を含んだものといえます。
”未必の故意”は法律用語で、「犯罪の意図はないが、この行為に及んだら人を殺傷することになるかもしれないと頭の片隅では認知しながらその行為に踏み切ってしまうこと」で、有罪を免れません。スイスのように安楽死が法制化された国でも医師が自ら手を出して患者に致死量の薬を服ませたり点滴のストッパーを開いて流し込んだりしたら”未必の故意”として告訴されかねません。
呆ける前に自らの意志で安楽死を求めてスイスへ行くと近著に書いた橋田壽賀子さんは、かの地で受諾されるまでには相応の面倒な手続きがいることも知ったからでしょう。
わざわざ海を越えて遠い異国にまで行かなくとも、ここ日本で楽に死ねるようにと、安楽死の一刻も早い法制化を訴えています。
しかし、ほぼ市民権を得ている尊厳死さえ法制化されていない日本で、安楽死が法的に認められる日はほど遠いように思われます。
尊厳死法を制定しようとの動きは、尊厳死協会の働きかけもあって、国会議員100人ほどが超党派の組織を結成して試みられたようですが、立案にまでは至らず、中休みの形になっています。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら