パワハラ被害を「自分のせい」と悩む人の盲点 理不尽に対し「逃げるは恥だが役に立つ」
川島誠さん(仮名、38歳)は、千葉県に本社を置く中小企業の正社員だ。社員数は50人程度で、大きく3事業部に分かれている。
その川島さんは2017年12月ごろから、直属の上司である山田課長(仮名)からのパワハラに悩んでいる。
指導とは呼べない「暴言」
「お前がプロジェクトから外れてくれれば、毎日ぐっすり眠れる」
「お前の脳みそはアリ以下だな」
山田課長はことあるごとに、このような「暴言」を川島さんに投げつける。川島さん自身も顧客企業との商談の際に先方の名前を言い間違えたなどのミスはあるのだが、「上司として部下を指導する」という範疇を超えた誹謗中傷、罵倒といった心理的な嫌がらせの側面が小さくない。
きっかけは川島さんが会議で報告した数値が間違っていたことが原因で、山田課長に恥をかかせてしまったことだ。川島さんは山田課長から目の敵にされてしまった。
ただ、川島さんが山田課長のパワハラを社内で問題にしようにも、さらに上司の部長は、山田課長と家族ぐるみの付き合いをするほどの仲で、勝算が薄い。会社にはパワハラの相談窓口、パワハラに対する罰則を明示した就業規則もない。川島さんはたまたま社長と話す機会があったので、この件を切り出してみたが「山田も仕事には一生懸命だからな」と取り合ってももらえなかった。
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