パワハラ被害を「自分のせい」と悩む人の盲点 理不尽に対し「逃げるは恥だが役に立つ」

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「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」――。連日、テレビやネットを騒がせる「ハラスメント」事件。週刊誌の報道が発端となって、テレビのワイドショーが大きく取り上げることも少なくない。会社で働く人だけでなく、さまざまな人が悩み苦しんでいるテーマだ。

今年10月からはテレビ東京が「ハラスメントゲーム」(月曜夜10時〜)という、連続ドラマをスタート。社内で起こるハラスメント問題を主人公とその仲間が解決していくストーリーである。私も年間200件を超えるパワハラに関する問い合わせやパワハラに悩む人々の相談に乗っているが、ハラスメントがテーマとなってテレビドラマ化までされるということは、それだけハラスメントに対する世間の関心と社会的問題へ認知が広まっているといえるだろう。

一方で、実際のパワハラは業務の延長上で発生するものであることから、どこからどこまでがパワハラなのかといった線引きが課題でもあるのだ。

ハラスメントの定義とは

そもそも、パワハラとはいったいどのような行為が該当するのだろうか。厚生労働省はパワハラ(職場のパワーハラスメント)について以下のように定義している。

「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます」(あかるい職場応援団より)

たとえば、「仕事ができない」「仕事が遅い」ということを理由に、他の従業員の前で過剰なまでの叱責、業務内容ではなく個人に対する誹謗中傷、といった行為が該当する。上司や先輩といった仕事上の立場を利用し、指導を超えた暴力・暴言を与えることがパワハラとなり得る。

パワハラのような行為を受けたとき、まず真っ先に思いつくことが「相談」といった行動であろう。都道府県労働局などに設置した総合労働相談コーナーに寄せられる「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は年々増加しており、2016年度には7万件を超えている。

このような背景から社内の相談窓口の設置数も年々増加している。厚生労働省の調査によると従業員の悩み、不満、苦情、トラブルなどを受け付けるための相談窓口を設置している企業は全体の73%に上る。

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