初版が1万ドル!『キングコング』の濃い世界 1930年代、特撮映画は日本の禅僧をも魅了した

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禅の生活の特撮解説記事

編集していた坊さん(?)が余程のキングコング好きだったかどうかは全く分からないが、編集者によるこの記事の前説でも、かなりハイテンションで喜んでいるのがビンビン伝わってくる。

 肝心の内容はというと、エンパイアステートビルの天辺で飛行機と闘うキングコングの映像トリックを中心に図解入りで特撮を解説した結構マニアックなもの。

当時の坊さん達はきゃあきゃあ言いながら手に汗握って『キングコング』を観た後で、こういった特撮技法の解説をむさぼり読んでいたのかもしれない。少なくとも、かなり多くの日本人がキングコングに熱狂したことは間違いない。

便乗商法のマンガも

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暴れキングコング

さらに杢兵衛なる漫画家が描いた『暴れキングコング』という戦前のマンガ(榎本法令館 昭和9年)もある。映画の『キングコング』が封切られた翌年に早速の便乗商法で刊行されている。

筆者はこの珍本を、SF作家であり、古典SF研究の第一人者である横田順彌氏が数十年前に研究のために復刻された版で読んだのだが、一応、本家『キングコング』にそれなりに沿った形でストーリーが進む。

最後には勇敢な日本少年が、キングコング(の弟分が、ジキル博士の秘薬を飲んで巨大化した生物)を生け捕りにするという、手に汗握る展開をみせる。

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サスガニホンジン

過剰なほど、「日本人はすばらしい」「毛唐(白人)はだらしがない」を連呼している点が、いかにも時代を感じさせる作品である。とはいうものの、意図せずして実に力が抜けたバカバカしい作品に仕上がっている。

当然のように突っこみどころは満載。日本少年に追い詰められたキングコングが「サスガハニホンジン」と尻餅を付く場面があるのだが、そもそも南の島で原住民としか接していなかったはずのキングコングが、なんで日本人のすごさを知っているのか。

とまれ、淀川長治の回想、禅誌への登場、このマンガの出版などからみても、キングコングというキャラクターが如何に日本人の心を鷲掴みにし熱狂させたかが 強烈に伝わってくるのである。

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