アメリカ中間選挙後は市場の動揺が頻発する

トランプと議会の対決で内外のリスクが上昇

NPR・マリスト大学世論調査研究所の世論調査(2018年10月21~23日)によると、67%が大統領に対する印象を投票時に考慮すると回答しており、2014年のバラク・オバマ政権2期目の中間選挙(47%)と比べて約20%ポイントも上昇している。ティップ・オニール元下院議長(任期:1977~87年)は「すべての政治はローカル(地元)」との名言を残しているが、今回の中間選挙はトランプ大統領への信任投票であり、状況は大きく異なる。

下院では伝統的に、支持率が低い大統領の政党は中間選挙で苦戦する。こうしたことからも、大統領支持率が40%と低迷する中(ギャラップ世論調査、2018年10月22~28日)、民主党が有利な情勢だ。したがって、次期議会では上院は共和党が過半数を維持し、下院は民主党が過半数を奪還して、「ねじれ議会」になる可能性が高い。

以下、(1)民主党が下院のみ奪還、(2)民主党が上下両院を奪還、そして(3)共和党が上下両院を維持といった3つのシナリオに基づき、中間選挙後の米経済政策を占ってみよう。

民主党の下院奪還で、大統領を襲う3つの「I」

(1) 「ブルーウェーブ」シナリオ:民主党が下院奪還

仮に大方の予想どおり、「ブルーウェーブ」に乗った民主党が下院を奪還し、「ねじれ議会」になった場合、議会では重要法案の可決が困難になるとみられる。2020年大統領選に出馬する候補の多くは中間選挙実施の翌春、つまり今回は2019年春に立候補を正式に表明する。したがって、大統領候補は中間選挙直後から大統領検討委員会を設立して出馬の検討を開始する。大統領選に国民の注目が集まることによって、すでに超党派で物事を進めることが難しくなっているアメリカ議会は、いっそう2極化が進む。

下院を民主党が奪還すれば、民主党は議会を通じて大統領のビジネスやセクハラ容疑、そのほか、側近の各種スキャンダルの調査を開始し、アメリカ政治はますます混沌とするだろう。

下院民主党は有権者の関心が最も高い医療政策に取り組むことが見込まれる。だが、ワシントンのあるロビイストは下院を民主党が奪還した場合の次期議会の注目点は3つの「I」だと指摘する。それは「調査(Investigation)」、「弾劾(Impeachment)」、そして「インフラ(Infrastructure)」だ。

共和党と入れ替わり、下院の主導権を握ることとなる民主党は、「ロシアゲート疑惑」の調査委員会では、より厳しい調査を始めるだろう。また、「ロシアゲート疑惑」以外でも、大統領や政権幹部の違法行為などを暴くことを狙い、さまざまな調査を立ち上げることは間違いない。

下院民主党トップのナンシー・ペロシ院内総務は、共和党議員の協力がないかぎり大統領の弾劾訴追は行わない方針を示している。だが、民主党の下院奪還後、調査を通じて明白な違法行為などが判明すれば、弾劾訴追が開始される可能性も出てくる。

そういった中、民主党も関心があるインフラ整備法案が審議されるものの、財源確保に関し、民主党と共和党の間で意見が乖離している。そもそも調査開始や弾劾訴追などで関係が悪化して、民主党議員と大統領・共和党議員が協力できるような政治環境ではなくなると考えられる。

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