アメリカ中間選挙後は市場の動揺が頻発する

トランプと議会の対決で内外のリスクが上昇

なお、共和党は個人所得税の引き下げを恒久化する内容を含む減税第2弾の「税制改革2.0」を推進している。しかし、これも、民主党が下院を奪還した場合は、議会での可決は望めない。民主党は富裕層が恩恵を享受していると批判しており、逆にトランプ政権が成立させた減税第1弾である2017年税制改革法の一部見直しを試みる可能性すらある。

2017年税制改革法成立の際に、共和党主導の議会は税制改革に関する公聴会を実施しなかった。しかし、民主党が下院を奪還した場合の次期歳入委員長に就任するとみられているリチャード・ニール下院議員は、次期議会でこれを開催することを、すでに示唆している。

ねじれ議会では予算協議は厳しさを増す見通しだ。中間選挙後のレームダック会期(次期議会が開催される2019年1月まで)に、共和党議会は予算決議案を可決し、2019年9月までの政府支出を確保することが見込まれる。また債務上限引き上げの期限も2019年夏頃には迫る見通しだ。共和党から何かしら譲歩を得ようと、予算や債務上限引き上げを人質に民主党は政権とぎりぎりまで交渉し、その混沌とした政情が市場に悪影響をもたらすリスクがある。

民主党が上下院制せば、政治は混乱をきわめる

(2) 「ブルーツナミ」シナリオ:民主党、上下両院奪還

可能性は低いものの「ブルーツナミ(津波)」が押し寄せ、民主党が上下両院を奪還した場合、民主党が政権に対する抵抗をますます強めることは必至だ。上院では大統領が指名する政治任用者や裁判官などの承認が滞る。民主党が下院のみ奪還した場合と同様に、調査開始や弾劾訴追など政治は混迷してゆく。

「税制改革2.0」は民主党が下院のみを奪還したシナリオと同様に、議会での可決は困難だ。仮に民主党主導の議会が「税制改革2.0」を可決したとしても、民主党が推す内容が含まれるため、大統領が拒否権を発動し廃案となる可能性が高い。一方、予算協議では、民主党が下院のみ奪還した場合と同様に、与野党の意見対立で、厳しさを増す。

民主党が上下両院を奪還した場合、財政調整措置を利用して歳出拡大や減税策を一部停止した内容のインフラ整備法案を上下両院で可決する公算は大きい。だが、問題は大統領が拒否権を発動した場合、それを覆す3分の2の票数を民主党は確保できないことだ。とはいえ、インフラ整備を公約しているトランプ大統領は、民主党指導部と交渉の末、ほかの案件で民主党の協力を得ることなどを条件に署名に至るかもしれない。

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